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あのあとすぐに講師がきて講義は始まった。
出欠から始まってレジュメが配られる。
回されてくるそれを樹から受け取って隣に回す。
「何して寝坊したんだよ」
「寝坊確定すんな」
「寝坊じゃねえの？」
「二度寝だよ」
「同じだよ」
テンポのいい会話にちょっと気分が良くなって、笑みがこぼれるじゃないけど控えめに口角が上がる。
講師のマイク越しのありがたい話を右から左に聞き流しながらする、講義中の樹との会話は嫌いじゃない。
樹は勉強は苦手だけど頭が悪くないから、主語を省いたようなテンポ命な会話も困難じゃないくてとても楽しい。
「まあ初っ端から寝坊って決めつけといてあれだけどさ、お前が寝坊なんて珍しいな」
「まーねー」
寝つきの悪さ故に若干不眠気味なところがあって、隈が酷かったり講義中に居眠りなんてことがよくあるのだが、それをよく知る樹はそんな私が寝坊するほど深く眠っていたことが驚きのようだ。
確かに、何故だか今日はよく眠れていた気がする。結構深く。
そんな先ほどの睡眠のいつもと違う点と言えば、いつ入ってきたのか知らないがあの男が同じベッドにいたこと。
あとは寝るまえにリズミカルに背中をぽんぽんと叩いてくれていたことくらいだろうか。
「やっぱ人肌って大事なのかも」
「…なに、彼氏でもできた？」
「んーん、近所の人の犬を一時的に預かってる？だけなんだけど、温かいってよく眠れるのかもね」
お前んとこペットオッケーだったっけ、という樹の訝しむ一言を無視して、まだ我が家にいるであろう忠犬かつヒモのアイツについて考える。
そーだ、名前。私の名前言ってないのに、何で知ってたんだろ。
家を出るその瞬間にベッドから手だけを上げてひらひらと優雅に振りながら放った『Aちゃんいってらっしゃ〜い…』の言葉。
私はあの男に名前など名乗ったつもりはないのだが。
寝てる間に荷物漁られた？にしては昨日と置き場所やら中身の置き方やらなんやらが何も変化していなさすぎる。
何か名前を書いた私物を使っていただろうか。私の部屋に何かのトロフィーや賞状の類いはないぞ。
「んー……」
思考の渦を表すようにレジュメの隅に、ぐるぐるとシャーペンを走らせる。
「なんか考え事？」
一見楽しいことにしか興味がなさそうな樹だが、思いのほか周りを見ていて気を遣うやつだ。
私の様子を見て、気にかけてくれているらしい。
「いや、べつに……」
樹に話すほど重要なことでもないと判断し、そう言ってシャーペンを無意味に走らせるのをやめて講義に集中することにした。
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?(プロフ) - もちもさん» コメントありがとうございます！！そう言っていただけてとても嬉しいです！今ストックがなくなってしまって更新がゆっくりになってしまいますが頑張らせていただきます！ (11月7日 0時) (
レス) id: c0823c63c4 (このIDを非表示/違反報告)
もちも - 話の内容がめちゃめちゃ私に刺さりまくりで毎回脳が溶けていくような感覚がします笑🫠とっても面白いので続きを期待してます！ (11月5日 19時) (レス) @page28 id: e6a943ec70 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！！そんなことを言ってもらえるなんて想像もしていませんでした！😭めちゃめちゃに嬉しいです💕 (11月1日 2時) (レス) id: 53aaf6ae71 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - お話がどタイプすぎて生きる意味が見つかった気がします＾＾ (10月31日 18時) (レス) @page25 id: 6c0d9e0967 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - さいだーさん» コメントありがとうございます〜！んふふ、二人に振り回されてく展開をお楽しみください！頑張ります〜💪🏻 (10月30日 1時) (レス) id: 53aaf6ae71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：? | 作成日時：2023年10月17日 2時
