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私はその人を家に入れてすぐ、洗面所に押し込んで顔を洗ってもらった。
あとずっと裸足だったぽいから、風呂場で軽く足を洗い流してくださいとお願いして。
その間に私は鼻水を擦りつけられた自分の服の替えと、あの人に着せる服を思案していた。
あの地面に座り込んでいたスウェットで一時間でも居座ってほしくない。
かと言って今後も着るような服を貸したくはない。
最悪そのまま譲渡して問題ない服……。
「高校の時のジャージしかないな…」
女子高のジャージで悪いが…何が悪いんだ?
私は貸してあげてる側だし、部屋に入れてあげてる側だぞ。
元々あの人とは何の由縁もないのだし……。
ブツブツといつものくせで一人じゃ明確に答えが出ないような自問自答を続ける。
そうしていたら後ろからヌッと真っ白な腕が回ってきた。
「ねー名前なんていうの?」
そのまま回ってきた腕はぎゅっと私を抱きしめて、男の人の顔が近づき私の上から耳元に話しかけてくる。
急に背後から密着されて声をかけられ、ぞわぞわとしたものが背中を走ってひくんっと喉が引き攣って音が鳴った。
「名乗るほどの関係性になる予定ないから…!不用意に近寄らないで!!」
声をあげて腕を振り払って嫌がれば、思ったよりその人はすんなりと離れた。
背中を向けるのは危険だと判断して、慌てて振り返る。
ちょっと汚れたグレーのスウェットに、真っ白な素肌の上半身。
ポケットに両腕突っ込んで、痛そうなほど首を傾げたその人は唇を尖らせて眉をハの字にして言った。
「ご機嫌斜め?俺が服に鼻水つけちゃったから?ごめんね」
そう言ってそっと横腹から腰に腕を回してまた密着してくる。
「そーですっ!!」
言葉で言っても無駄なんだこの人、と思って強めに突き飛ばして、まず自分が着替えるために洗面所に向かう。
リビングと隔てる扉を閉めて、ズボンを脱いで軽く鼻水の部分を水道で流し上の服に手をかけた時だった。
「お詫びに着替え手伝おっかー?」
そう言って無遠慮に扉を開けられたのは。
上げかけていた服を思いきり下に伸ばして、ガタゴトと足をもつれさせて壁に背中を押し付けた。
「あ、脅かしちゃった?んふ、ごめんね」
口を閉じて鼻根をクシャッとさせて笑ったその人が近づいてくる。
この人さっきなんて言ってた?
ドアが開いた音と、びっくりしたことと、自分の足音でまだらにすら聞こえなかった。
ていうかなんで入ってきたの、そう聞こうとした瞬間明確に脱がせようという意思を持った触れ方をされて手が出た。
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?(プロフ) - もちもさん» コメントありがとうございます!!そう言っていただけてとても嬉しいです!今ストックがなくなってしまって更新がゆっくりになってしまいますが頑張らせていただきます! (11月7日 0時) (レス) id: c0823c63c4 (このIDを非表示/違反報告)
もちも - 話の内容がめちゃめちゃ私に刺さりまくりで毎回脳が溶けていくような感覚がします笑🫠とっても面白いので続きを期待してます! (11月5日 19時) (レス) @page28 id: e6a943ec70 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!!そんなことを言ってもらえるなんて想像もしていませんでした!😭めちゃめちゃに嬉しいです💕 (11月1日 2時) (レス) id: 53aaf6ae71 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - お話がどタイプすぎて生きる意味が見つかった気がします^^ (10月31日 18時) (レス) @page25 id: 6c0d9e0967 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - さいだーさん» コメントありがとうございます〜!んふふ、二人に振り回されてく展開をお楽しみください!頑張ります〜💪🏻 (10月30日 1時) (レス) id: 53aaf6ae71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:? | 作成日時:2023年10月17日 2時