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メイクポーチを持ったまま動かない私のところに大我くんが歩いてくる。
私は近づいてきた大我くんに気付いて、俯いていた顔を上げて目を合わせた。
大我くんの顔を見る間もなく接近してきて、ちゅっと軽く触れるだけして離れていくその顔。
にっこりと優しく笑う大我くんの瞳が私を見つめて、よしよしと頭を撫でて頬を撫でペットみたいに顎の下まで撫でられた。
「今日一日、俺と一緒にいる?」
「……ん、いる」
昨日の今日だから気まずいだけで、きっと明日になれば普通に行けるはず。
今日一日休むくらいどうってことないよ。今日だけ。
「そうと決まったら二度寝しない?まだ眠いでしょ」
「うん」
「いーっぱいしたから、疲れてるんだよ」
そう言って昨日のことを思い出させるように、さりげなく腰を撫でる手を叩き落とす。
冷たいなぁなんて言いながら先にベッドに入って、おいでって言うみたいに掛け布団を持ち上げてくれる。
何故だか照れくさくなってなんでもない顔をしながら、いそいそと大我くんの隣に入り込んで使ってと言わんばかりの腕に頭を置く。
布団の中に入ってすぐどちらからともなく、足を絡めて体温を分け合う。
この短時間布団から出ただけでも、体温を奪われるほど寒い時期になってきた。
足を絡めて密着し始めた大我くんの足が、股のほうにずり上がってくる。
「ぁ、ねぇ、まだ履いてないから、服擦りつけないで」
「んふ、えちぃ〜」
「どっちが」
私の言葉を最後にほんわりと笑う大我くんは黙り込んで、ジッと私を見つめ始める。
それにつられるように私も口を噤んで大我くんを見つめる。
見つめると居心地が悪いのか気まずいのか、誤魔化すようにキスをしてくるこの人の癖が結構好き。
大我くんと触れ合うとストレスが溶けてくみたい。アニマルセラピーみたいなさ。
ん、ん、と声を漏らしながらキスの角度を変えて何度もした。
ふと息を漏らしながら離れれば、ぼやけた視界に大我くんだけがいる。
「Aちゃん泣いちゃうのかぁいい」
「ん、やだ…。泣きたくないのに」
「いーんだよいっぱい泣いてよ。かわいいし、気持ちいいんだって分かって嬉しいよ俺」
そう言って涙がじわじわと溢れる目尻をぺろって舐める大我くん。
舐めた後にちゅってしてくれて、おやすみ〜って頭を撫でられる。
「ぇ、しないの」
「しないよ。しんどいでしょ」
「………したいって言っても?」
そう言ったら大我くんはにやぁ〜って笑って、私が唯一身に着けているトレーナーの中に手を入れてくる。
私のお願いを聞いてくれるみたい。
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?(プロフ) - もちもさん» コメントありがとうございます!!そう言っていただけてとても嬉しいです!今ストックがなくなってしまって更新がゆっくりになってしまいますが頑張らせていただきます! (11月7日 0時) (レス) id: c0823c63c4 (このIDを非表示/違反報告)
もちも - 話の内容がめちゃめちゃ私に刺さりまくりで毎回脳が溶けていくような感覚がします笑🫠とっても面白いので続きを期待してます! (11月5日 19時) (レス) @page28 id: e6a943ec70 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!!そんなことを言ってもらえるなんて想像もしていませんでした!😭めちゃめちゃに嬉しいです💕 (11月1日 2時) (レス) id: 53aaf6ae71 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - お話がどタイプすぎて生きる意味が見つかった気がします^^ (10月31日 18時) (レス) @page25 id: 6c0d9e0967 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - さいだーさん» コメントありがとうございます〜!んふふ、二人に振り回されてく展開をお楽しみください!頑張ります〜💪🏻 (10月30日 1時) (レス) id: 53aaf6ae71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:? | 作成日時:2023年10月17日 2時