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大我くんは私が卑下した容姿を愛おしそうに、「どこもかしこも可愛いね」って言いながら顔中どころから体中にキスをする。
かさぶたになっちゃうねと言って唇を舐めるその姿には、大我くんが傷つけたのにそんな『可哀相に』って思う顔できるのすごいなと思った。
大我くんは下半身だけ服を身に着けて、私は素っ裸の上にパジャマにしていたトレーナーのみを着てベッドの中にいた。
向かい合って寝ていれば、大我くんが私の頬を親指の腹で撫でる。
「寝ないの」
「Aちゃんの寝顔見ようと思って」
「……」
大我くんの言葉に何も言わずにいたら、大我くんはわざとらしいほどハッとして見せて
「Aちゃんが寝たらどっか行くためじゃないよ!?どこにも行かない!起きてもここにいるから!あ、そうだ、おはようって言ってあげる!ぜったい!約束!!」
と起き上がる勢いで慌てて早口に言い出すものだから笑ってしまう。
「いいよ、いなくても。大我くんがいなくったって…へいき……」
「なんでそんな寂しいこと言うの」
そう言って私の頭を撫でる大我くん。
大我くんの声と体温って、どうしてこうも眠くなるのかな。
私が毎夜あんなに苦労して眠りにつくのがバカみたい。
……最近は大我くんが夢に出てきて眠れなかったからな…。
「…おやすみ、Aちゃん」
気付かぬ間に私はぐっすりと眠っていた。
翌日になればその日の授業に合わせたアラームが鳴る。
スマホを探さねば、と起き上がると隣で寝ている大我くんに驚く。
「ほんとにいる…」
起きたらいなくなってると思っていたから、思わず小声でそんなことを声に出す。
アラームを鳴らすスマホは、昨日は帰ってすぐお風呂に入って、色々ありまあ、そのまま寝たからカバンの中だった。
アラームを止めながら、充電ない最悪だなんて考える。
「……はぁ」
「おはよ〜」
「ぁ、ごめん大我くん、起こしちゃった」
起きなきゃいけないのは私だけで大我くんはまだ寝てられるのに。
そう思って謝ったら大我くんは、いいよいってらっしゃいしたいからって目を擦りながら起き上がる。
そう?と言ってのろのろと大学に行く準備をする。
寝癖直して、着替えて、メイクして……。はぁ…。
「Aちゃん大丈夫?なんか憂鬱?」
「ん〜…、大学行ったら樹いるから、気まずいなぁ、なんて」
昨日お風呂に入る前に慌てて拾ったスマホ。
今落ち着いて見たら画面はバキバキだし、樹との通話はあの時切れてたし、樹からの不在着信とか未読メッセージとかがいっぱいで。
大学に行って樹とちゃんと話さなきゃいけないことが、昨日の今日だと少し憂鬱なのが正直なところ。
「……休んじゃう?」
「……」
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?(プロフ) - もちもさん» コメントありがとうございます!!そう言っていただけてとても嬉しいです!今ストックがなくなってしまって更新がゆっくりになってしまいますが頑張らせていただきます! (11月7日 0時) (レス) id: c0823c63c4 (このIDを非表示/違反報告)
もちも - 話の内容がめちゃめちゃ私に刺さりまくりで毎回脳が溶けていくような感覚がします笑🫠とっても面白いので続きを期待してます! (11月5日 19時) (レス) @page28 id: e6a943ec70 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!!そんなことを言ってもらえるなんて想像もしていませんでした!😭めちゃめちゃに嬉しいです💕 (11月1日 2時) (レス) id: 53aaf6ae71 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - お話がどタイプすぎて生きる意味が見つかった気がします^^ (10月31日 18時) (レス) @page25 id: 6c0d9e0967 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - さいだーさん» コメントありがとうございます〜!んふふ、二人に振り回されてく展開をお楽しみください!頑張ります〜💪🏻 (10月30日 1時) (レス) id: 53aaf6ae71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:? | 作成日時:2023年10月17日 2時