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「そんなことよりさぁ、俺の名前って気になんないの？」
唇を尖らせて拗ねたような顔で喋るその姿に、呆れを含めた溜息を吐いて口を開いた。
「明日には関わり途絶える人間に興味なんて湧かないでしょ」
「へぇ？自分の名前は知られてるのに、相手のこと何も知らないって怖くない？俺がAちゃんの名前とか住所とかをばら撒くって脅した時にさ、名前くらい知っておきたくない？」
私の言葉を聞いてガラリと雰囲気を変えて、早口にそうまくし立てられる。
謎に身振り手振りもついて、まるで劇のセリフのようにすら感じさせられた。
ていうかばら撒くって脅されて、相手の名前知ってたって……。
警察に駆け込んだ時に情報の一つになるか？ていうか、……。
「……ばら撒くの？」
「……」
ずっと分かりやすいような態度や幼いともいえる態度ばかりだったのに、雰囲気が急に変わってどうせそんなことしないと思ってもジワリと心の中に不安が広がった。
不安げな態度を隠せずそう聞いたら伏し目がちの冷たい視線をこちらに向けた。
かと思えば、パッと手を広げてにっこり笑って目を細めた。
「うそうそ！さすがに泊めてくれた恩人にそんなことしないって〜」
流れるような仕草で近づかれて、顔の横の髪を取られてそっと唇を落とされた。
この人の仕草の節々に、王子様のような高貴さが垣間見えて調子が狂う。
美容師との会話が嫌いで、長らく切っていない髪。
特筆すべきケアはしていないが、髪質に恵まれて自慢できるほど綺麗な自信はある。
「髪長いの似合っててかわいい。明日可愛く結んであげよっか」
そう言って頬を揉むように撫でられて、そのまま首に腕を回されて抱きしめられる。
ぎゅぅと強く首を絞めるみたいに抱きしめられる。
耳の横にある顔がすりと擦られて、マーキングのような動きにくすぐったくなって軽く身を捩る。
「俺はこんなにAちゃんのことが気になってしょうがないのに、名前聞いてもらえないどころか興味湧かないって言われちゃうんだもん。意地悪しちゃうよ」
興味なんて湧いてない。この人への愛着もない。
けど、捨てられた犬みたいに雨に濡らされてるように擦り寄るその姿に、どうにもどこからか罪悪感のようなものが湧いてしょうがない。
興味なんて湧いてない。間違いない。
間違いないはずなのに、慣れない距離感で触れ合う異性の体温に感情がバグりそうだ。
女子高出身で男慣れしてないせい、と心の中で言い訳した。
「……なまえ、しり、たい……。教えて…？」
「んふ、たいが。京本大我っていうんだよ」
嬉しそうな顔を見せたその人は、自然な動きで目を瞑って私にキスをした。
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?(プロフ) - もちもさん» コメントありがとうございます！！そう言っていただけてとても嬉しいです！今ストックがなくなってしまって更新がゆっくりになってしまいますが頑張らせていただきます！ (11月7日 0時) (
レス) id: c0823c63c4 (このIDを非表示/違反報告)
もちも - 話の内容がめちゃめちゃ私に刺さりまくりで毎回脳が溶けていくような感覚がします笑🫠とっても面白いので続きを期待してます！ (11月5日 19時) (レス) @page28 id: e6a943ec70 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！！そんなことを言ってもらえるなんて想像もしていませんでした！😭めちゃめちゃに嬉しいです💕 (11月1日 2時) (レス) id: 53aaf6ae71 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - お話がどタイプすぎて生きる意味が見つかった気がします＾＾ (10月31日 18時) (レス) @page25 id: 6c0d9e0967 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - さいだーさん» コメントありがとうございます〜！んふふ、二人に振り回されてく展開をお楽しみください！頑張ります〜💪🏻 (10月30日 1時) (レス) id: 53aaf6ae71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：? | 作成日時：2023年10月17日 2時
