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今までの人生で関わったことのないような景色で一瞬クラッとしてしまったが、ぐっと踏ん張って何も見ていないような顔をしてゴミ袋を握って外に出る。
お母さんありがとう、健康サンダルの痛みが目を覚ましてくれるみたいだよ。
私はあの人たちに背を向けて、エレベーターへと真っ直ぐ向かっていった。
エレベーターの中では、どうか戻るころには二人の喧嘩が終わるか場所を移動していますようにと願うばかりであった。
ゴミ袋を置いて少し身軽になった姿で、エレベーターに乗り先ほど見た二人を思い出す。
どうか喧嘩をやめていますように。
あるいは私に見られたことによって、人に見られないような場所に移動していますように。
ある程度の人間ならきっと、ああいう場面を知らない人間に見られることは嫌なはず。
エレベーターが目的の階層に止まって、ドアがゆっくりと開いていく。
エレベーターから廊下を真っ直ぐに、ほとんど変わらぬ姿をしている男女が見えてげんなりした。
このまま扉を閉めてしばらくエレベーターで過ごすなんて変だ。嫌だ。
もう少し寝れるはずだし。さっきと同じようにささっと部屋に入ってしまおう。
意を決して歩き出すにつれて、二人の会話が鮮明に耳に入るようになる。
「せめてあと一日だけ！あといちにちだけぇ〜…！」
「もう明日には引き払うの！」
「えぇ！？そんな、急に…明日から俺どうすればいいのぉ!」
「知らないよっ、知らない、いい大人なんだからしゃんとしなよ！！」
どんどん近づいて、二人の表情すら鮮明に見え始める。
私はその時、情けなく裸足で膝をついて縋る男の人より、振り払う女の人のほうが心苦しそうな顔をしているのが印象に残った。
さっきは目を逸らすようにしていたので分からなかったが、男の人の顔がまるで外国の絵画のような造形美を誇っていることに気付いた。
思わずしばしの間目を奪われて、溜まっていた涙が頬を伝い落ちるところまで見てしまった。
「あっ、あっ、と、となりに住んでる人！？」
「えっ！？」
完全に目が合って数秒そのままでいたからか、男の人が女の人に縋るのをやめてつんのめって四つん這い気味に私に駆け寄ってくる。
どんくさそうなその姿に、顔に似合わないなぁなんて思う。
今度は私のズボンをきゅっと握って、同じように縋るような視線を向けられる。
零れたはずの涙がもう瞳に溜まって、大きなその目を潤ませている。
「たすけてっ、おれ、追い出されちゃう！」
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?(プロフ) - もちもさん» コメントありがとうございます！！そう言っていただけてとても嬉しいです！今ストックがなくなってしまって更新がゆっくりになってしまいますが頑張らせていただきます！ (11月7日 0時) (
レス) id: c0823c63c4 (このIDを非表示/違反報告)
もちも - 話の内容がめちゃめちゃ私に刺さりまくりで毎回脳が溶けていくような感覚がします笑🫠とっても面白いので続きを期待してます！ (11月5日 19時) (レス) @page28 id: e6a943ec70 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！！そんなことを言ってもらえるなんて想像もしていませんでした！😭めちゃめちゃに嬉しいです💕 (11月1日 2時) (レス) id: 53aaf6ae71 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - お話がどタイプすぎて生きる意味が見つかった気がします＾＾ (10月31日 18時) (レス) @page25 id: 6c0d9e0967 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - さいだーさん» コメントありがとうございます〜！んふふ、二人に振り回されてく展開をお楽しみください！頑張ります〜💪🏻 (10月30日 1時) (レス) id: 53aaf6ae71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：? | 作成日時：2023年10月17日 2時
