愛人の痴【Taiga.K】

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＿＿＿＿＿pipi pipi

規則的になる高い音に、顔を顰めながら起き上がる。
音の鳴る元を探せば、枕の横に置いたはずなのにベッド下に落ちている。
はぁ、とひとつため息を吐いてスマホを拾い上げる。
アラームを止めながら、6:30だなんてどうしてこんな早い時間にアラームを設定したんだろうと考えた。
すると止めると同時にスケジュールアプリの通知が来て、7：30燃えるゴミの日と書かれていた。

「あぁ、」

そういう。と、一人で納得してそういえば昨日まとめたゴミを玄関に置いて寝たことを思い出した。
にしても一時間前に起きなくても、と昨日の自分に文句を言う。
まだ日によっては残暑の残るこの時期にゴミを一週間放置するのが嫌だから、念に念を入れた昨日の私のことはちゃんと理解している。
暑くて脱いだパジャマ代わりのTシャツを着て、引っ越しの際に親が「運動しない子だから」とかなんとか言ってくれた某キャラクターの健康サンダルを履いてドアノブに手をかける。
グッとドアノブを捻ったところで、ドアの向こうから男女の言いあうような声が聞こえた。
もう片方の手に持っていたゴミ袋を、思わず一旦手から離した。
そしてドアに耳を当てて、その二つの声に集中する。

「〜〜〜からっ、〜〜！！」
「っっ〜〜ねぇ、〜〜〜だ！」

この声はどちらも聞き覚えがある。
女の人の声は隣に住んでいる人で、男の人の声はその女の人の恋人(？)らしき人だ。
引っ越したばかりのころは壁を挟んで、並んだ状態でベッドを配置していたらしく時折いわゆる夜の声が聞こえてきていたのだ。
何度も続いた夜には壁にコップを当てて、いかがわしい音源でも流してやろうかと思った日もあった。
冷静にベッドの配置を変えたが。
そんな二人と顔を合わせるのが嫌で、口論が終わるまで様子を見ることにした。



30分程経ったが、口論の熱が冷める様子はない。
むしろヒートアップしている気すらする。このままじゃせっかく早起きをしたってのに、ゴミ出しを逃すことになる。
それだけはいただけないと思い、深く息を吸ってゴミ袋を強く握ってドアノブを捻った。

決心した勢いのままドアを開けば、思ったより近い位置で口論していたらしい男女の視線がこちらに向く。
その男女の姿は私が想定していたより酷かった。
下着が見えそうなショート丈のパジャマにブラジャーとキャミソールのみの明るめの茶髪の女性。
そんな女性の太ももに、上裸でスウェットを履いた裸足の肩につかないくらいに伸びた金髪の男性が涙目で縋るように抱きついていた。

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