ななめまえ。 【轟焦凍】

風邪 ページ9

いつもよりも授業に集中できなくて気分がのらないのはきっと

斜め前にあの人の姿が見えないから





朝のHRで相沢先生が告げた言葉は私の気分をさげるには充分すぎた




「轟でも風邪は引くんだなー」

意外だよなーと上鳴くんと切島くんが話しているのが耳に入った





「大丈夫かな、轟くん」


朝ご飯のとき姿が見えなかったので悪い予感はしていたが、まさか風邪を引いたなんて




その日の授業は全くといっていいほど耳に入らなくて

授業が終わり寮に戻ってからも気が気じゃなかった




轟くんの様子が心配だけれど、部屋に行っても移るからと追い返されそうだ

第一私よりも轟くんと仲のいい人は他にいるわけで

私なんかが行ってもいいのか、まずそこからが問題な気がしてくる




うーんと唸りながら夕食を食べるため共有スペースへ向かうと


「おっ！笹山いいところに！」

そこには一人前用の鍋を持った砂糖くんや皆ががいて




「これ、轟のところに持っていってくれないか？」


いやー俺たちが持っていってもいいんだけど病人の轟を目の当たりにすると余計な世話まで焼いちまいそうでさ、と頼んできたのは切島くん


「笹山はいつも落ち着いてるし！」

そう付け加えて、じゃあおねがいな！と鍋の乗ったお盆を渡してきた上鳴くん



いや、私もしんどそうな轟くんをみたら余計な世話を焼いてしまいそうなんだけど

でも轟くんの様子が気になるし

なにより皆の頼みなら



お盆を受け取って轟くんの部屋へ向かった

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