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ヒーロー松村ページ16

松村side

授業をサボって空き教室に来た。
いつものことだから先生たちも気にしてないんだけど。

ベンチに横になって、目を瞑る。んん

「ほくと！」

声がした。俺を呼ぶ声が。俺の好きな声が。

「北斗起きて！」

松「紗絵…」

「どうしたの？(笑)デート行くんでしょ？ほら。」

俺の右腕を掴んで走り出す。
俺は追いつけなくて転けそうになってしまう。

パッと目を覚ますと寝転がっていたはずのベンチから転げ落ちていた。

またかよ…

もういいって…

思い出させないでくれ…

ひとつ伸びをして、空き教室にでも行こうかと立ち上がった。

空き教室は当然の如く誰もいなくて、俺の足音だけが響く。

紗絵、今でも大好きだよ。

心でそう呟いて再び瞼を閉じた。

「おい！こっちに来い！！」

『やめてください！！』

片目だけを開けると、3年が誰かを襲っているのが目の端に入った。

あいつ、ジェシーのじゃん…。

確か…Aだったっけ？

松「やめなよ。」
　「嫌だってさ。」

男はすぐに俺だと気づいたらしく、そそくさと逃げていった。