普通の恋のお話。 (ページ9)

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それからというもの校内でA先輩を見かけることはなかった

テスト期間に突入したこともあって
ますます会えそうにもない

「…はあ～～～」

「ん？何光輝、そんなテストやばいの？」

颯太と渉が嬉しそうに見つめてくる

「まあ、それもそうだけど…！！」

『…だけど？？』

颯太と渉のニヤニヤした顔が
俺の視界を埋め尽くす

「光輝だって恋愛の悩みくらいあんだろ」

前の席の光成がぼそっと呟く

『はあ！！！まじで！！！？あの光輝が？？』

2人は声を揃えて驚いている

無理もない、俺は恋愛にはあまり興味もなかったし
告白されることもあったけど
全て適当な理由で断っていた。

「いや声でけーよ」

俺はただでさえうるさい颯太と渉に声を抑えるように言った

「え、待って相手誰？このクラス？
いや違うか、4組？いや5組？」

渉がすごいスピードで質問してくる

「いや渉、俺分かっちゃったわ」

渉が目を見開いて颯太を見つめる

「ズバリ……！5組のゆらちゃん！！！でしょ？光輝！」

…ゆらちゃん？誰だ？

「違うけど」

うっそーーー！！思った以上にへこんでいる颯太の背中をポンポンと叩き、

「…ドンマイ」とだけ言う

渉はまだ分かってない様子であたりをキョロキョロと見渡していた

ちらっと後ろを向いてニヤッとしてきた光成

きっと光成だけが気づいている
俺の気持ちに。