普通の恋のお話。 (ページ21)

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さっきの人混みが嘘だったみたいに
人がいない静かな所にきた

勢いで何をしてしまったのかと我にかえる

「す、すいません！！！」

慌てて彼女の手首から自分の手を離す

「…うん、、」

泣きそうな顔をしているA先輩

俺は離した手を、A先輩の両手を、
もう一度持った。
そしてA先輩の下に向いた目線に自分の目線を合わせるようにすこししゃがむ

「…A先輩。
俺、A先輩が光成のことまだ好きなの気づいちゃいました。
頑張って忘れようとしてたんですよね」

ゆっくりと頷くA先輩の目から
大粒の涙が溢れた

「A先輩と光成がどれくらい長い時間一緒にいたか、
どれくらい仲良かったか見てたら分かります。
多分俺が思ってる以上に光成との絆は強いと思う…

だから、多分、、
A先輩がどれくらい強がってるかも分かります。」

やっと弱いところを見せてくれたA先輩
頬を伝う涙が、光成への好きに溢れたものにみえる

「…光…輝くん…私…」

そう言って俺の持つ彼女の両手から
片方の手がするりと抜けて、
彼女は涙をぬぐう

「…ごめんね、気づいちゃった？笑」

鼻をすすりながら
精一杯の笑顔で俺を見るA先輩

そんなに強がることないのに、
せめて俺の前では弱いままで。
涙くらい見せてくれても、泣いてくれてもいいのに。

俺は繋いでいた片手を引っ張り
A先輩を抱きしめた

「…好き、、です

A先輩のこと好きです俺。」