普通の恋のお話。 (ページ13)

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お昼も食べたしそろそろ帰ろうかなと思って
お会計に向かう

「黒田くん、もう帰るの？」

A先輩が少し小走りで俺に近づいてきた

「そろそろ、、することもないし笑」

「私もうシフト終わるからよかったら一緒に帰らない？」

屈託のない笑顔で、キラキラした目で
こちらを見つめる彼女の思いがけない言葉に驚く

「あ、はい！外で待ってますね」

どうしよう、A先輩が帰ろうなんて言ってくれるなんて
今更光成の偉大さを感じて感謝が溢れ出す

「お待たせ！」

それからすぐに出てきたA先輩は
Tシャツにロングスカートというラフな格好

可愛いなあ

横に歩くA先輩を見て、
以外と小さいな、とかほっそいなとか思う

きっとA先輩は、俺のことなんて
何も気にしてないからこんな風に一緒に歩けるんだろうけど

何か話題を、もっと仲良くなりたいのに…！

「あ、そういえば！！
黒田くんてさ映画好きだったりする？」

急に立ち止まるA先輩に
俺も合わせて立ち止まる

「普通に好きっす」

なんの話だろうか

「これ、バイトの先輩から貰ったんだけど…」と言ってカバンから2枚のチケットを手にするA先輩

もしかして一緒に行こっていうお誘い…だったりする？

「ならはいっ！どうぞっ！」

2枚とも俺に差し出す

「お友達と行ってきて？
あ、彼女とか！黒田くんカッコいいし彼女いるでしょ？笑」

あーそういうことか
彼女以前に好きな人目の前にして全然話せてないんですよ俺…

「俺、彼女いないっすよ…」

「そなの！？なら好きな子とか、デートに使ってみて」

なんて言いながら歩き出すA先輩
先に歩くA先輩の背中を見て、チケットを握りしめた

「…っ！」

少し追いかけて、A先輩の前に立つ

ん？と立ち止まって、上目遣いでじっと見てくるA先輩。
俺は貰った2枚のチケットのうち1枚をA先輩に差し出した

「A先輩と行きたいっす！」

汗が出てくる
手汗半端ない我ながら大胆な行動をしたと思う
でももう後には引けない

「え私と？？笑」

好きな人がA先輩だということに気づかれたかな、少し焦る

「よっぽど行く人いないんだね笑」と言って笑って
「うそうそ！ありがと！一緒に行こっか！」と
A先輩はチケットを受け取ってくれた。