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終わりの刻 ページ1
昼間とは打って変わり、肌を優しく包み込む陽光と頬に吹き付ける生暖かい風。
生まれ変わる為、また輝く為に地平線の向こう側へと消えていくソレを掴もうとするかのようにその男は手を伸ばす。
しかし、遠い宙にあるソレを掴むことなどはできるはずもなく、冷たい手のひらは虚空を掴むだけであった。
男は重苦しい息を吐き、黒い蓬髪が俯く。
数秒程の空白。
しかし男にとってそれは数刻とも感じ取れたようだ。
…やがて男は、決心したかのように足を踏み出す。
しかし、そこに踏みしめるべき大地は無い。
「……まぁ、異世界なんてある筈もないよなァ…」
誰にも聞かれず、風に攫われていった声。
本人にすら聞こえちゃいない。
その代わり、終わりを憂う晩蟬の鳴き声がやけに耳に張り付いていた。
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作者名:曉 | 作成日時:2020年11月19日 23時