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そしてあっという間に冬が来て受験の日が来て、合格発表の日。
志望校が同じえおえおと大学の入り口に張り出された合格者ののった紙を見る。
えおえおとはあれ以来、元の関係に戻ったというか、何もなかったかのように友達になった。
「10825…10825…」
「あ、俺あった」
「え!うそ!やったあ!おめでとう!!」
「10825だっけ?……あ、」
「あった…!」
気がつけば二人同時に抱き合っていた。
私たちの周りにいた他の受験生数名が小さく冷やかす声が聞こえ二人で我に返る。
何やってんの私バカ!!
「四月からもよろしくね」
と照れながらえおえおは言った。
.
見慣れた長い廊下を走る。
すれ違う先生に「廊下走るなよー」と怒られるけど「はーい」って返事しつつも足は止めない。
目的の部屋の扉の前で止まり息を整える。
大きく深呼吸をして扉に手をかけ開ける。
扉の開く音に顔を上げるあろま先生。
「先生…」
「お前は来るんじゃねーかなって思ったよ」
目を細めて口角を軽く上げる先生。
ねえ、わざと?
それとも私の目と耳にフィルターかかってるだけ?
椅子から立ち上がり伸びをする。
入り口から動かない私を見て「入らないの?」って首をコキコキ鳴らす。
一歩前に出て、準備室の扉を閉める。
「んで、どうだったの」
「…それが…」
「もしや…ダメでした?」
「…合格…しましたー!」
「ですよねー!」
驚かせようかなって思ったけど少しテンションの高い私は笑いがこみ上げてきちゃってできなかった。
私がバンザーイって両腕を上げるからあろま先生も控えめに両腕を上げてくれた。
「よかったよかった」って言いながら上げていた手を下げポケットに突っ込んだ。
私が呼びかけると「ん?」って小首を傾げる。
「ご褒美ください」
そう言いながら私は自分自身の頭に軽く触れる。
その動きを見て先生は一瞬ひるむ。
でもそれは本当に一瞬で、そのあとは少し戸惑いながら私の頭に手を置いた。
「…よく頑張ったな」
雪の降りそうなグレーの寒空。
それでも私の中はポカポカな二月。
先生とのお別れまであと一ヶ月しかない。
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007(プロフ) - 有馬さん» ありがとうございます!では早速…♪ (2018年12月24日 6時) (レス) id: 378ccf97ed (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 007さん» もちろんいいですよ〜! (2018年12月23日 20時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 千平さん» お返事遅くなりすみません。不愉快とか思ってないですよ!私もぽいかな〜?って考えながら書いていたので笑 ありがとうございます! (2018年12月23日 20時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
007(プロフ) - fbさん以外のmsspメンバーのフルネーム、ここから取ってもいいですかね…? (2018年12月23日 20時) (レス) id: 378ccf97ed (このIDを非表示/違反報告)
千平(プロフ) - 有馬さん» いえいえ!!!!!そういう訳じゃないです!!!!!こちらこそ不愉快に思われましたらすみません、削除させて頂きました 頑張ってください (2018年8月23日 17時) (レス) id: e2b806019f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有馬 | 作成日時:2018年5月24日 19時