【MSS.P】先生って呼ばないで【あろま.ほっと】

▼16 ページ17

「倉科ー。悪いけどプリント集めて数学準備室持ってきてー」
「はーい」


私は後悔している。


なんで去年も学級委員をやらなかったんだろう、と。


あろま先生は学級委員が自分の秘書かのように思っている節があるのか、学級委員をやる事で、自分から手伝いに行かなくても仕事を頼んで来るんだ。


だから名前を呼ばれることも多いし、話す回数も増える！


学級委員万々歳！！


えおえおは放課後部活のことが多いから、放課後は必然的に私の名前を呼んでくれるし、秘書でもお手伝いでも奴 隷でもなんでもいい！


むしろ奴 隷にして！！


なんて、馬鹿なことを考えながら私はみんなからプリントを回収する。


「Aごめんな、部活あって手伝えなくて…」


しゅんてしてるえおえおに笑顔で「大丈夫だよ！」って返すと「ん、」と眉を下げる。


なにか不満そう？


私が首をかしげると他のクラスのえおえおの部活仲間が声をかけてきて、えおえおは「またね」と言って荷物を持ち教室を出て行った。


プリントを集め終わって整える。
それを持って教室を出て数学準備室に向かう。


準備室の手前まで来た時、中からあろま先生と女の子が出てきた。


その女の子と楽しそうに笑うあろま先生を見て私は動けなくなってしまう。


嬉しそうにニコニコ笑う可愛い女の子が先生に触って話して、そしてぺこりと会釈をし小走りで去っていく。


準備室に入ろうと振り返るあろま先生が私に気づく。


「あれ、倉科。…ああ、プリントな！サンキュー」


動けない私のとこにあろま先生が一歩一歩近づいて来て、手に持つプリントを取った。


その時、微かに指と指がぶつかった。


ダメ。


私がしていいのは可愛いヤキモチまで。



「なに、どったの？」


動かない、何も言わない私を見て顔を覗き込み笑う先生。


ダメ。


ダメだよ先生。そんな顔。ズルイよ。

▼17→←▼15

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す