雨の中のワルツ ページ2
「あの、ちょっと…大丈夫？」
土砂降りの中でもよく通るような
そんな、暖かい声だった。
声をかけてくれたのは恐らく仕事帰りであろう
優しそうな雰囲気のお兄さんだった。
ただ、こんな土砂降り、いや最早ゲリラ豪雨の中1人で阿保みたいに泣いている小娘に声を掛けてくれる人がいるのか、と私は本当にびっくりしてしまって
私から出たのは「ぷぎゅ」という、何とも間抜けな鼻をすする音であった。
それでも優しそうなお兄さんはどうやらこちらに傘を差してくれていたらしい。
最早傘の意味など全く無いくらいの大雨だが、お兄さんも雨に濡れていた。
「あ、あの、傘…ありがとうございます」
「え？あぁ気にしないで、もうあんまり意味も無さそうだけど…」
やっとの事で口から出たお礼の声にお兄さんはこれまた優しそうな笑顔でそう答えてくれた。
お兄さんが変なナンパ野郎などでは無くて良かった。本当に良かった。
お兄さんの優しい笑顔にまた少し涙が出た。
「いや、あのね？本当に心配になって声かけたっていうのもあるんだけど…僕、君が立ってるその後ろのお店に用があって…」
今度は少し困ったような笑顔でそう言ったお兄さんにハッと我に返る。
丁度私が立ち止まった場所はお店の入り口の前だったようでどうやら通行の妨げになっていたらしい。
「えっ？！あっ！すいません！退きます！」
「あはは…ごめんね、最初は君もここに入るつもりで居たのかなと思ったんだけど」
「すいません全然周りの事見てなくて！本当に自分の事しか考えてなくって、うぅ…」
「えっ？！ちょ、ちょっと泣かないで〜！」
「すいませ、うぅ、うう〜〜…」
どうやら私は変な泣き上戸スイッチが入ったようで、一度溢れてしまった涙は次から次へと溢れて止まらなくなってしまった。
お兄さんは慌てながらも
「泣かないで、ごめんね」
と優しく声を掛けてくれた。
それでも泣き続ける私に傘を持たせてお兄さんは私の後ろにあったお店のドアを少し開けた。
中からはゆったりとしたジャズの音楽が聴こえて来て、泣きながらも
「あぁ、いいお店だなあ」
と思った。
「あれ！ヒョンびしょ濡れじゃん！雨だんだん酷くなってきたもんね、早く入って！」
中から聴こえたのは男の人の声。
「うん、ありがとジョンヒョン。あのね、もう1人入れてあげてもいい？びしょ濡れなんだ」
そう言ってお兄さんは私の方へ戻って来た。
「おいで、今は取り敢えず雨宿りしよ」
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海産物(プロフ) - 一部、誤字等の修正を行いました。 (2018年8月1日 0時) (
レス) id: 7e2e50893a (このIDを非表示/違反報告)
海産物(プロフ) - datura様初めまして!嬉しいコメント有難うございます（ ; ; ）オッパみ溢れるオニュを書きたい！という欲から生まれた作品なので嬉しいです…！これからも更新頑張りますのでたまに覗いて頂けると嬉しいです！ (2017年2月19日 23時) (レス) id: c45ee5a591 (このIDを非表示/違反報告)
datura(プロフ) - 初めまして！ジョンペンの私ですが、海産物さんの書くオニュ氏のオッパみにやられました…続きとっっっても楽しみです。お忙しいとは思いますが、ご自分のペースでゆっくり書いていただければ嬉しいです(*´ω`*) (2017年2月16日 22時) (レス) id: cc0aef44cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海産物 | 作成日時：2017年1月4日 22時
