白雪姫は愛されすぎる①《雪》 (ページ18)

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阿部side

どれくらい時間が経ったか分からないけど、人が一切通らないのはありがたい

「落ち着いた？」

さっきよりも嗚咽が少なくなったと思い声をかけてみれば、力強く抱きつかれた

今更ながら、嫌われたわけではないみたいでよかった

『あの、ね、っわたしのこと、嫌いにならないで、』

「...えっと。かなり話が見えてこないんだけど」

やっと口を開いてくれたけど、突拍子もなさすぎて頭が追いつかない

一旦体を離すと顔を上げたAと目が合う

涙で顔がぐちゃぐちゃなのに変わらず可愛いって

そんなことより、俺に嫌われたくないってなに？

『亮平くんに嫌われる夢見たのっ』

『やだ、っ嫌われてたくない、』

なんか理解ができたような気が

子どもみたいに嫌だと言い涙を流す姿に、不謹慎ながらもキュンとしてしまう

「俺がAのこと嫌いになるなんてどう考えてもありえないでしょ」

『わかんないよ、そんなの』

「わかるわかる。だからそんな泣かないで」

『だって、』

「だってじゃなくて。俺がないって言ってるからないの」

『本当に？』

「本当だよ。俺の好意ってもしかして全く伝わってないの？」

伝わってないことは無いと思ってたんだけど

そんな嫌われたくないって泣くってことは、多少なりとも俺に嫌われる可能性があると思ってるってことでしょ？

Aのこと嫌いになるなんてありえなさすぎて

『ちが、ちがうの。私が亮平くんのこと好きすぎるから、だから、嫌われたら生きていけ、っんん』

思わず言葉を紡ぐその唇に噛み付くように唇を重ねた

俺に嫌われたくないってこんなに泣くのも

俺に嫌われたら生きていけないって思っているのも

今も素直にキスを受け入れてくれるのも

愛しさしか感じない

「Aが俺に嫌われたくても絶対嫌いになんてならないから」

『、うん。ずっと、好きでいてね』

「いるよ。だから、もう一回いい？」

ダメだって言われても、きっとするだろうけど

でもAはダメだなんて言わないか

返事の代わりにようやく笑顔を見せてくれたAの唇に、もう一度自分の唇を重ねた

こんな誰がいつ来るかも分からない廊下で

けどそんなことも考えられないくらい目の前の彼女のことしか今は考えられない