変わりゆく、日々【6】更新停止。

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「まぁ、座ろうや」




草むらの中、用具入れの影に隠れている私には二人の姿はまるで見えない。

見ようと思えば見れる距離と位置。


それでも見ようとしない私は、やはり弱い。






「あの、というか良いんですか」
「なにが？」
「だって今、ほら」
「あぁー、うん。今はこっちのが大事」
「A先輩より？」
「おまえは相変わらず生意気だな」
「いった！なんで叩くんですかっ」
「して、真面目すぎ」





私が居ない場所なのに私の話をされるとどこか照れ臭く、恥ずかしさも沸々と沸き上がる。





「真面目ですかね、俺」
「柴崎が真面目じゃなかったら柴崎じゃないね」
「意味がわからないんですけど笑」
「告ったって？柳沢に」
「……はい？いきなり…びっくりします」
「あれれ、違いましたかね笑」
「告白なん、て、してませんよ。出来ません」
「柳沢に聞いたんすけど、あれれ」
「A先輩、が？」






(ちっがーう！違うよ柴崎君っ！)

(告白されたなんて言ってないよ！本当だよ！)



ただ、胸にズンっと入ってきただけ。






「…………告白、なんですかね」

「さぁ、俺は当人じゃないすから」





中身が有るんだか無いんだか。

よくわからない会話がポツポツと続けられる。








「おまえは、柴崎は今のままで良いわけ？」
「どういう意味で、」
「柳沢が好きなんじゃないっすか、昔から」
「…………好きですよ」
「っすよね」
「篤人先輩を好きなA先輩が好きです」
「………………はい？」
「真司君とバカな事言い合う先輩が好きなんです」
「おまえ、それ、」
「それで良いんです」
「俺は良くない」
「っ、どうして」
「遠慮なんかすんな。俺バカみたいっしょ」
「……遠慮は、しますよ」






少女漫画で言うと私は主人公？

主人公を取り合う同級生と後輩。あるある。


取り合うとか恥ずかしい事言ってる私はもう乙女全開なんだろうなぁ。




なんて、思えない。




現実は、胸の奥の隅々までぎゅーっと強く強く
、心臓を潰されてる感覚で苦しく、痛い。



(好きって、こんなに重い言葉だったっけ…)

(こんなに……こんなに、)




もっと魅力的な女性は世の中に沢山居る。


それなのに、私を好きと言ってくれている内田君と柴崎君の暖かく強い言葉に、想いに、





『っ、ぅっ……っ、』





声を出さない様静かに泣く事しか、今の私には出来ないのが悔しくて堪らなかった。

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