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内田君が先輩の出し物を見に行くと三年生の教室へ向かった。それも一人で。
(これは、行かないとダメなのかな)
どんな意図があるのかはわからない。
「見に行ってやって」と言う内田君の気持ちに嘘は無いと思った。
頑張りを見てやれと、先輩として?
知り合いとして?
どんな感情で見に行けば良いかなんて、更にわからない。けど、私は見たいと素直に思ったから、一年生の教室へ向かった。
「あ、どうぞどうぞ。でも、」
『もう始まってます?』
「そうなんですよね」
『入っても大丈夫かな?』
「大丈夫ですよっ、静かにお願いします」
『ありがとうございます』
柴崎君のクラスに行くと、演劇は既に始まっていた。しかし私には20分程しか時間が無い。
(少しだけでもー……って人多いじゃないの)
文化祭の劇なんてと言ったら失礼かもしれないが、然程客も来ないであろうと思ったのも束の間。
(柴崎君の人気だったりして、女の子多いしっ)
客寄せをしていた柴崎君のクラスの女の子から手書きのパンフレットを貰った。
なんとなく聞いたことのあるタイトルで、聞けば担任が学生時代に好きだった恋愛ドラマを演劇にアレンジしたらしい。
(ハムレットとか難しいのかと思ったけど、)
(少女漫画!って感じのだよね、確か)
途中から見てもなんとなく話の内容が読めるのは、テレビの再放送で何度か観たことあるからなのかもしれない。
「ごめんねっ、待った、かな?」
(お、ここってこのドラマでも有名なシーンかな?)
制服を着た女子高生が真ん中よりやや右寄りに立ち、男子高生に向かって話し掛ける。
その女子高生の目の先に立っていたのは、
(柴崎君…え、主演?)
(ってことはあのシーンの台詞……言うの?!)
少し、ドキドキした。
その反面、演技をしている柴崎君を見てるとどこか恥ずかしさも生まれてくる。
「いや、俺も今来たところだから」
「そう…」
「うん……」
「「あの」」
「え?」
「あっ、あのっ」
「先に言ってよ」
「私の話は良いからっ、ね…だから」
再放送で観た最終回。
頭で思い出しながら、そのまま劇を見続けた。
「俺さ、どう考えても、なにを考えても、」
その時、柴崎君と目が合った気がした。
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ふー(プロフ) - 美波さん» 初めまして(*^^*)最初から読んでいて頂いてたみたいで、ありがとうございます(о´∀`о)忘れずに覚えててくれたことに感謝です…!本当にゆっくり更新しちゃうと思うのですが、また遊びに来て頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました★ (2016年8月26日 1時) (レス) id: 7b244f7448 (このIDを非表示/違反報告)
ふー(プロフ) - 澪さん» わっ!お久し振りですー!覚えててくれてありがとうございます( ;∀;)お待たせしました〜(ToT)本当にゆっくりですが、また更新頑張りますね♪コメントありがとうございます! (2016年8月26日 1時) (レス) id: 7b244f7448 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - 初めまして!初こめんとです。でも、最初からずーっと読ませていただいてました。久しぶりに開いたら、更新されましたってきてて、本当に嬉しかったです!!更新楽しみにしてますね。ふーさんのぺーすで!まってます♪ (2016年8月21日 1時) (レス) id: 50fdf5e7bd (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - ふーさん、お久しぶりです♪そして、お帰りなさい!待ってましたよ〜!これからも、ふーさんのペースで頑張って下さいね(*´▽`*) (2016年8月20日 1時) (レス) id: f2ccd5d125 (このIDを非表示/違反報告)
ふー(プロフ) - meggieさん» お久し振りです、こんばんわ。長い間お休みしてしまって、本当に申し訳ないです…。以前より更新頻度は少なくなってしまうかもしれませんが、少しずつ更新を再開していきたいと思っております!コメントしていただき、ありがとうございます! (2016年8月17日 21時) (レス) id: 7b244f7448 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふー | 作成日時:2015年10月16日 2時