いつだってそばにいて (ページ13)

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「紫耀、出れません。」

紫耀がこんなに雨苦手なのに、いつも外に出ることに執着するのは、ママに会いたいからじゃないか、って療養の先生には言われた。

紫耀は自分の思いを言葉にするのが下手だから、本当のことは分からないけど、でも、確かにAが亡くなった日には酷い雨が降ってて、

それに、亡くなる前は雨に対してこんなふうに拒絶反応を起こすことはなかったから。

「あ"ーーーーーーー！！！！！！」

「紫耀！ダメ！」

きっと思い通りにならないことが嫌な紫耀は自分の頭を玄関のドアに打ち付け出す、

ガンッガンッてすごい勢い。

「紫耀、だーめ、」

ドアと紫耀の頭との間に自分の手を挟んで、衝撃を和らげる。

、と、今度は直接、自分の手で頭を叩き始める。

「しょお、お願いだからやめて、」

紫耀の頭を守るように抱きしめれば、当然その拳は俺の身体に当たるわけだけど、紫耀が傷つくより、マシ。

「ギャーーーーー！」

「うん、しんどいね、紫耀、悲しいね、だいじょーぶだいじょーぶ。」

その体勢のまんま、背中をポン、ポンと叩けば、10分くらいすると大人しくなった。

「よし、お部屋戻ろう。ここ寒いよ？」

ん、と手を出せば、その手をギュッと握ってくれるから、一緒にリビングへ歩き出す。

明日は、晴れますように。

終