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重い足音が近づいてきた。
振り返ると、でかいボストンバッグを背負った…
「まる…?」
「ただいま、章ちゃん」
今帰ってきたで、と笑う顔が懐かしい。
俺はゆっくりと近づき、その胸に抱きついた。
「章ちゃん…もう、あんまり可愛いこと言わんでよ…バスん中で俺、顔真っ赤やったんやで」
「…っ、まる…」
とんとん、と背中をたたいてあやしてくれる大きな手。
「言うてやあ…1週間おらんなら…」
「ごめん、ほんまに忘れててん…!亮ちゃんに章ちゃんの連絡先聞こう思ったけど、亮ちゃんガード固くてっ」
泣かないで…と自分が泣きそうな声を出すマル。ああ、もう、ほんまに…。
「マル…俺」
「うん」
「マルのこと変態やと思ってるし、うるさいと思ってるし、過保護やとも思ってる。けど」
俺は涙で濡れた顔を上げ、マルを見上げた。
かあっと赤くなるマルの顔。
「マルがおらんと、元気でぇへん…」
するとマルは、これ以上ないくらい優しい顔で、言った。
「俺もやで。章ちゃん、会いたかった」
前髪をかきあげられ、額にキス。そのまま唇へ…といく前に、寸止めされて。
「ほんまのキスは、章ちゃんから好きって言うてもらってから…にするわ」
こんな人のいる場所でごめんな、電車乗ろか、なんて手を引くマルの腕を引っ張り返した。
「マル」
見開いた瞳。
「好きです、付き合ってください」
さらに赤く染まる頰。
我慢できない、とでも言うように、キスを降らせてくる。
突然の告白から1か月。まさか、同じ言葉を返すことになるなんて。
「俺の負けや…マル」
「ちゃうよ。世の中、先に惚れたもん負けやで、章ちゃん」
誰よりも、大事にします。
そう誓ったマルを、誰よりも愛おしいと思った。
end
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ななな(プロフ) - 突然すみません、、、。やすくんと年下組シリーズ大好きなので、次の更新を楽しみにしています! (2018年1月6日 1時) (レス) id: c139195854 (このIDを非表示/違反報告)
おはなし - ヤンマーの江戸時代設定のやつの続編はどこかにのせていらっしゃいましたか?質問失礼します、 (2017年12月15日 0時) (レス) id: 01c8da2026 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - 更新待ってました!とっても嬉しいです。さらに大好きな学パロ、ヤンマーと2つも一気に読ませていただいて幸せでした!またいつか読めることを楽しみに待ってますね。 (2017年9月6日 18時) (レス) id: 55300828f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もち苺。 | 作成日時:2017年9月5日 20時