3 ページ3
3
「ラスト一本!」
あー、疲れた。
蒸し風呂のような体育館でダッシュのトレーニング。1年生は夏の大会には出られへんけど、今年からこの暑さには慣れとかなあかん。
「はい、じゃ給水ー」
コーチの声がかかり、ぺたりと座り込む。
もう11時かぁ。あとちょっとで終わりやな。
(俺、今日の講習11時半までやから!迎えに行くわ!)
(来んでええから)
今朝の別れ際のやりとりを思い出す。あいつちょくちょくうちの校門まで来るから、最近友達にもからかわれんねん。安田の王子様来てるでーって。
「どこが王子やねんな」
呟いて、またトレーニングを再開する。
「1年!もっといけるやろ!限界決めんな!」
「はい!」
監督の声に応え、さらにスピードをあげる。きっつ…
!!
「痛っ…」
足首に鋭い痛みが走り、俺は思い切り床に倒れこんだ。
「ヤス、大丈夫か!?」
みんなが驚いて駆け寄る。床で足がうまく滑らず、靴の中で変に曲げてしまった感覚がした。痛いっ…
「一旦ベンチやな。歩けるか?」
ベンチに下がると、マネージャーが足を見てくれる。少し腫れた足首は赤くなっていた。
「たぶん捻挫やな。とりあえず保健室や」
うわ、最悪や…この夏の部活出られへんようになったら、みんなと差が出てまう。
俺は肩を借りながら、足を引きずり保健室へと向かった。
「…んー、まあ、大したことないな。一週間もすれば痛みは引くやろ。それまでは無理して歩かんほうがええで」
保健の先生の言葉に、とりあえず一安心。早よ治さな、とにかく安静にしてよ…
「安田〜大丈夫〜?」
「あ、みんな!うん、大丈夫やで」
部活が終わり、同級生が見に来てくれた。…ん?
「なんでみんなニヤニヤしてるんー?結構痛いんやでー」
「いや、悪い悪い。あのな、
…安田の王子様、来てるで」
そう言われて扉の影からひょっこり現れたのは、心配そうな顔をしたマルやった。
.
164人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななな(プロフ) - 突然すみません、、、。やすくんと年下組シリーズ大好きなので、次の更新を楽しみにしています! (2018年1月6日 1時) (レス) id: c139195854 (このIDを非表示/違反報告)
おはなし - ヤンマーの江戸時代設定のやつの続編はどこかにのせていらっしゃいましたか?質問失礼します、 (2017年12月15日 0時) (レス) id: 01c8da2026 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - 更新待ってました!とっても嬉しいです。さらに大好きな学パロ、ヤンマーと2つも一気に読ませていただいて幸せでした!またいつか読めることを楽しみに待ってますね。 (2017年9月6日 18時) (レス) id: 55300828f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もち苺。 | 作成日時:2017年9月5日 20時