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その日の晩は当然のように1人で眠った。
次の日も、その次の日も。
孤独を感じないといえば嘘になる。けど、俺はあの日優しく話を聞いてくれた可愛い男の子のことを考えていた。
あの話の続きをしたら、彼はなんと返すだろう。そんなことを想像しながら。
そうして1週間がたったころ。
俺は彼の添い寝屋を検索していた。
こんな行動を友人が聞いたら引くか、慌てて俺を止めるかやろな。俺やって、自分がアブノーマルな道を進み始めてるのはわかってる。でも…
もう、1人が寂しいとかやなくて。あの子にもう一度会ってみたくて。
金曜日の夜に、予約した。
「こんばんはぁ」
デリバリーです、とまた誤解されそうな言葉で呼び鈴を鳴らしたのは、今日も可愛いらしいしょうちゃん。検索をして初めて、デリバリーが社名だと知った。
「まさか、ご指名くださるなんて…」
「また会いたくなってん」
そう言うと照れたようにはにかむから、まるで恋人同士の密会のような感覚になる。料金はしっかり払いますけど。
10時の予約をしたが、あいにくまだ眠たくない。ソファに座らせて隣同士、テレビを見た。
「あ…添い寝以外は追加料金とか、あるなら払うで」
「一緒にテレビを見て追加料金なんて、ぼったくりやないですか」
くすくすと笑うしょうちゃん。小動物みたい。
11時半頃、しょうちゃんがふわぁ…とあくびをしたから、俺はそろそろ寝ようかと彼を誘った。
以前のようにころんと寝転がったしょうちゃんは、やや上目遣いでこちらを見る。今日は雨にも濡れていなくて、しょうちゃん自身の香りがした。
「あの、お客様」
「りょうって呼んで」
「…りょう」
ええ名前ですねと微笑むしょうちゃん。この笑顔に下心を抱く客が他におらんわけがない。
「しょうちゃんはさ、えっと…週にどれくらい働いとるの」
「うーん、だいたい3回くらいかな…」
「みんなお得意様なん」
「はい。新規もたまにありますけど」
やっぱり。しょうちゃんと一晩寝てまた会いたくなる男はいくらでもいるだろう。
自分は特別でもなんでもない、ただの客。わかってる。でも、心配になるのは仕方ない。
「その…変なことしてくるやつとかは、おらへん?」
「え?」
「いや、なんでもない」
俺を癒してくれるしょうちゃんが、やらしいことをされて泣かされたら…と思うと苦しくなった。社長とのやりとりを聞いてしまったから、なおさら。
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ななな(プロフ) - 突然すみません、、、。やすくんと年下組シリーズ大好きなので、次の更新を楽しみにしています! (2018年1月6日 1時) (レス) id: c139195854 (このIDを非表示/違反報告)
おはなし - ヤンマーの江戸時代設定のやつの続編はどこかにのせていらっしゃいましたか?質問失礼します、 (2017年12月15日 0時) (レス) id: 01c8da2026 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - 更新待ってました!とっても嬉しいです。さらに大好きな学パロ、ヤンマーと2つも一気に読ませていただいて幸せでした!またいつか読めることを楽しみに待ってますね。 (2017年9月6日 18時) (レス) id: 55300828f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もち苺。 | 作成日時:2017年9月5日 20時