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「章ちゃーーん!おはよう!」
「おはよ、声でかい」
ぶんぶん手を振りながらホームの階段を降りてくるマルは、通行人の視線を浴びている。恥ずかしいからやめてっていつも言うてるやんか!
まだ夏休みやけど、月・水・金曜日は必ず朝の電車でマルと会う。俺の部活とマルの夏期講習が重なるから。
「ほんま、よう飽きひんなあ…無限高校は共学やろ?可愛い女の子いくらでもおるんちゃう」
「その誰よりも章ちゃんが好きなんやって!」
「だから声抑えて」
どんだけ塩対応してもめげないマル。あいにく、俺は男性を好きになったことはないし、断り続けてるんやけど。
電車がゆっくりとホームに滑り込む。
「お、今日は混んでるな〜」
「なんで嬉しそうなん」
「章ちゃんと密着できるから❤」
無言で並ぶ列を変えようとすると、「あー!行かんで!ごめんごめん!」と慌てて手を掴んでくる。
そのまま同じ車両に乗せられ、当たり前のように腰に回してくる腕。下から睨むと、マルは余裕そうな顔で俺を見下ろす…身長差がむかつく!
「睨まれても上目遣いにしか見えへん〜」
「うー…」
あはは、と髪を撫でてくる大きな手。ガタン、と電車が発車した。
「俺に掴まってな?」
「つり革つかめるしっ」
「指先だけやんか」
混んでるからつり革が遠く、確かにギリギリ触れるくらい。もう、なんか悔しい。
抱きしめようとしてくるマルに抵抗するけど、だんだん超満員になってきてそれすら出来なくなった。
満足そうに俺を胸に抱えるマルの鼓動は、ドキドキと速く忙しい。
…。
…なんか、今さらやけど。
ほんまに好かれてるんやな。男同士やのに。
そんなことを考えながら、マルのシャツに顔をうずめて、暑苦しい電車に揺られていた。
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ななな(プロフ) - 突然すみません、、、。やすくんと年下組シリーズ大好きなので、次の更新を楽しみにしています! (2018年1月6日 1時) (レス) id: c139195854 (このIDを非表示/違反報告)
おはなし - ヤンマーの江戸時代設定のやつの続編はどこかにのせていらっしゃいましたか?質問失礼します、 (2017年12月15日 0時) (レス) id: 01c8da2026 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - 更新待ってました!とっても嬉しいです。さらに大好きな学パロ、ヤンマーと2つも一気に読ませていただいて幸せでした!またいつか読めることを楽しみに待ってますね。 (2017年9月6日 18時) (レス) id: 55300828f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もち苺。 | 作成日時:2017年9月5日 20時