もっと知らない君が見たい ページ40
安田side
我が高校の広報部は、存続の危機に立たされていた。
「あかん…ぜんっぜんええ記事があがらへん。こんなん新入生が入るわけないわ」
頭を抱える部長。副部長はすでに幽霊部員で、2年生も僕ともう1人しかおらん。
部活の仮入部期間が始まり、運動部には新入生がたくさん体験に行っている。
ところがうちの部には、新入生の心を掴むポイントがない。このまま新入生が来なければ僕の代で広報部は終わりや。
「こら、捨て身で取材するしかないな…」
「部長、なんか案あるんですか?」
同級生部員が聞くと、部長は眉間にシワを寄せた。
「ないことはない…な。
おまえら、学校一のイケメンと言われたら、誰を想像する?」
いきなりのクイズに僕らは顔を見合わせる。学校一のイケメン…ってゆうたら。
「「錦戸先輩」」
「それや」
それやって…。
確かにうちの高校には絶大な女子人気を誇る、超絶イケメンがおる。3年の錦戸先輩で、サッカー部の副部長。ただし彼女の噂は一切なく、「鉄壁の男」なんてあだ名がつくほど。
でも、部長の案が錦戸先輩って…?
「あいつ不思議なヤツやねん。女の影は全然ないし、毎日昼は焼きそばやし、妙な大学生集団と仲ようしてるって噂もある。その素顔を暴いて記事にすれば必ずうちの部は注目を浴びる!」
「「ええー…でも…」」
部長の提案は悪くない。けど現実的やない。だって錦戸先輩といえば、後輩にはけっこう厳しいらしいし、目つきも怖いし…
「取材とか無理です」
「キレられそうです」
口を揃えて言う僕ら。でも部長は首を横に降る。
「いや、もう俺はこの案しか思いつかん。どっちか捨て身で取材いこ。部のためや!」
「まじですかああ…」
一度決めたら譲らない部長は、言い切って僕らを見つめる。
静かに拳を出す僕と同級生。
そして…
「あああああ」
僕はグー、相手はパー。
あかん!ほんま無理やて!
「よっしゃ、頑張れヤス」
「まあヤツも不良ちゃうしなんとかなるやろ」
「広報部の命運はおまえに託された」
「うわあ…もぉーー!」
半泣き状態の僕をよそに、2人は他のネタの話し合いに入ってしまった。
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るーしー(プロフ) - ガムトポすごく萌えました😭最後の鈍感トッポが、可愛くて可愛くて可愛すぎます。。ピンチに駆けつけるガムもかっこよくて、最高でした😭素敵な小説をありがとうございます! (2023年3月23日 2時) (レス) @page10 id: f4098d03e8 (このIDを非表示/違反報告)
もち苺。(プロフ) - あかかめさん» ありがとうございます!私もヒロイン感あるしょうちゃんが好きです笑 この先もゆっくりではありますが頑張るのでよろしくお願いします!! (2017年9月5日 20時) (レス) id: e64daadfce (このIDを非表示/違反報告)
あかかめ - 今更ですが全シリーズ読ませて頂ました…!章ちゃん受け+受けが危ない感じになって助ける的なお話が大好きなので生き甲斐になってますwお忙しいでしょうが無理せず頑張って下さい!長文、乱文失礼しました。 (2017年8月8日 20時) (レス) id: dd37e16602 (このIDを非表示/違反報告)
もち苺。(プロフ) - とまころろさん» いつもありがとうございます!これからもなかなか書けない期間があると思いますが、たまーにでも覗きにきていただけたらと思います。これからもよろしくお願いします! (2017年7月13日 23時) (レス) id: 9309636f94 (このIDを非表示/違反報告)
もち苺。(プロフ) - 青菜はやとさん» いつもありがとうございます。切甘は難しいです!笑 でも可愛いヤスくんは全作品に欠かさず書いていきたいです笑 (2017年7月13日 23時) (レス) id: 9309636f94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もち苺。 | 作成日時:2017年3月23日 22時