やすくんと年下組 part11

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章ちゃんside



手を、繋いでるんや。


大好きな錦戸さんと。




全身が心臓になったみたい。鼓動が、触れ合う手先から地を踏む足先まで波打ってる。



桜は今が盛りで、満開の花つけた枝をを広げて胸を張る。


この景色は今しか見られない。この瞬間も今しかない。錦戸さんが隣で、時折花を見上げているこの素敵な画も、今しか。





好きって、言えたらええのに。



手を繋いでいる意味は、僕が期待してるものかもしれないけど、喉から先に言葉が出ない。



「なあ、章ちゃん」



かすかに上ずった声がした。



胸がびっくりして、目を見開きながら錦戸さんを見たら、



吸い込まれそうな瞳で僕を捉えていた。


手を繋いだまま向き合って、ちょうど川に架かる橋の上で、見つめ合う。


この景色と僕らの空気から、新しい歌が生まれるような気がした。



「俺、章ちゃんが好きや」





ぶわっと風が吹いて、僕らを包む花吹雪に息を飲む。



離れないように、錦戸さんの胸に抱きついた。


告白されて泣きそうになるなんて、初めてや。



「僕も…

ずっと好きやった。錦戸さんが」


やっと言えた、歌にもうまく乗せられずもがいていた想い。


錦戸さんは、そっと僕を抱きしめてくれた。


「ほんまに…？ほんまに、俺で、ええの？」


きっとまた、彼は子犬のように可愛い顔をしている。


「錦戸さんだけが、大好き」


そう答えると、彼は腕をほどき、嬉しそうな笑顔を見せてくれた。



桜ついてるで、取ってあげるから目閉じて…



そのわかりやすいセリフにお互い照れながら、僕をまぶたをおろして唇を捧げた。

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