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帰省ってほどの距離じゃない実家から一人暮らしのアパートについて、鍵を出してまたへこんだ。実はコンビニで自分の分も買ったモンスターのマスコット。そういえばアパートの鍵につけてたっけ。使う度に胸がぎゅーってなるから外そうとするのに、それをできない私。


中のひんやりとした空気を吸い込んだ。それからコートの隣に掛かってるえんじ色のマフラー。田中先輩に渡そう、って決意して。それからその時にやめることも伝えようって。


『田中先輩、冬休み明け会えたりしますか?』


随分と他人行儀なメッセージなのに、いつも通り『告白かな?』なんてふざける田中先輩。あと即レス。『会えますか?』って告白云々を無視して送るとOKのスタンプ。…フットワークが軽い人でよかった。明後日、忘れないように持っていこう。


冬休みが開けたら直ぐにテストで、きっとバタバタして色んなことを考えなくてよくなるはずって自分に言い聞かせた














「どっかで見た袋だ」



慎太郎の第一声。私の手元の袋。今日田中先輩にお願いするやつ。「田中先輩にお願いすることにした」そう言ってついてきてもらおうとするのに、やだー、めんどいって言うの。ひどい。


「早く行ってこいよー、始まる前に約束してんだろ」


「慎太郎が冷たい…いくよ、ばか!」


珍しくドライな慎太郎に促されて、待ち合わせの場所に向かう。……大我先輩とかきてないよね、って不安になるけど待ち合わせ場所には田中先輩ひとりだけだった。



「Aちゃーん、あけおめ!」


「あ、そっか。あけましておめでとうございます」


挨拶をしてすぐに「すみません、これ大我先輩に返してもらえませんか?」って紙袋を押し付けた。田中先輩はやだーって後ろ手に両手を隠して受け取ろうとしない


「……お願いしますよ」


そう言って胸あたりに紙袋を差し出すと「……ごめんね」って笑いながらやっと受け取ってくれた。お礼を言って、それから講義が始まるからとそそくさとその場を離れようとする。


「Aちゃん、きょもと喧嘩?」


「……喧嘩、なんてする程仲良くないですよ」


「うわ。Aちゃん、どう?最近は」



彼氏、できた?なんて。ここから離れたいのにどんどん話題を出されて、無視して帰れない私がうらめしい。









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七七盛(プロフ) - 最後まで一気に読み上げました!沢山の登場人物がいるにも関わらずきちんと描写が伝わってとても読みやすく引き込まれました!出てくる人たちも一人一人キャラが立っていて…だからこそ辛いなぁと感じる展開もありましたが最後まで期待を持って読ませて頂きました! (2022年2月8日 23時) (レス) id: 3ec5ecab0a (このIDを非表示/違反報告)
KiiiiLA(プロフ) - 初めまして、ここにきてたいが先輩どーした! ってくらい主人公ちゃんと一緒に胸をいためております(T_T) わたしはたいが先輩応援派だからよけいにだったんですが、ここにきてたいが先輩の気持ちが見えなくて苦しいです。 続き楽しみにしております!? (2021年11月24日 13時) (レス) id: f5fdf1c4e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まめこ | 作成日時:2021年11月24日 0時

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