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大我先輩の胸に顔を埋めたまま、ぎゅっとコートを掴む。またいなくなっちゃいそうで怖くて。
「嫌いなんじゃないの？俺の事」
勢いで言ってしまった嫌い、なんて言葉を拾って。私の本心じゃないことを知ってるくせに口元に笑みを浮かべて私をからかう。…なんで私はこんな人を好きになったんだろう。雑に撫でられているのに心地よくて、離れ難いのはなんでなんだろう
「……好きです、よ。」
「あっそ」
嬉しそうに笑って、それから私の手を繋いで歩き出す先輩。一応告白だ。2度目の告白に対して今度はあっそ、って。他に何か言うことは無いのかな。
「なに」
「………あっそってなんですか」
いま、私告白したつもりです。他に言うことは無いんですか？なんて、本当に可愛くない言い方。でも確かめないとこの不安はなくならない。
「なんて言って欲しいの？」
あくまで私に言わせようとしている。悔しくてなんでだかまた涙でてきた。引かれた手を離して足を止める。隣から聞こえる深いため息。もうさっきから情緒不安定。先輩にはため息つかれるし、最悪だ。
「A」
名前を呼ばれて隣の先輩の方を向くと唇に触れる柔らかい感触。目の前の綺麗な先輩の顔。……なんだこれ。
「あ、なきやんだ」
そういって面白そうに先輩は笑った。
「こういうのじゃなくて、」「好き」
私の言葉を遮って、私の欲しかった言葉をサラリと言う。あんな投げやりな愛の言葉、なかなかない。そしてまた私の手を取る。それが当たり前のように。
「もう言わないから噛み締めとけ」
「……ずるい。」
本当にずるい人だ。こんなにも気持ちかき乱されて、酷いこともたくさんいわれて、それなのにたった一度の言葉が帳消しにする。むしろ、もっと気持ちが募った気がする
「レベルあがった？」
「……まぁまぁです。あ、クリスマス限定のやつ捕まえましたよ！」
「あ、それ個体値高い。」
「………何語ですか？」
ばかなの？って笑われて、下らない会話をする。前と同じような時間を過ごせるのかな。そうなれば幸せだなって。
隣を歩く柔らかい色の金髪、少し高い声、それに繋がれた手の温もりがどうしうもなく愛しく感じて口元がにやけるのを抑えられない。「不気味」って頬をつねられて、笑われる。
「A、やっぱり笑ってる方がましだな」
そんな皮肉めいた言葉すら愛しい、…本当にむかつくくらいずるい人だ。
end
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終わり
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七七盛(プロフ) - 最後まで一気に読み上げました！沢山の登場人物がいるにも関わらずきちんと描写が伝わってとても読みやすく引き込まれました！出てくる人たちも一人一人キャラが立っていて…だからこそ辛いなぁと感じる展開もありましたが最後まで期待を持って読ませて頂きました！ (2022年2月8日 23時) (
レス) id: 3ec5ecab0a (このIDを非表示/違反報告)
KiiiiLA(プロフ) - 初めまして、ここにきてたいが先輩どーした！ ってくらい主人公ちゃんと一緒に胸をいためております(T_T) わたしはたいが先輩応援派だからよけいにだったんですが、ここにきてたいが先輩の気持ちが見えなくて苦しいです。 続き楽しみにしております！？ (2021年11月24日 13時) (レス) id: f5fdf1c4e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ
| 作成日時：2021年11月24日 0時
