36 ページ36
･
「大我先輩、それまだ生ですよ！」
「……あ、裏側？」
「トング使わないとだめですって！」
「トング…？」
こんなに世間知らずな人いない、本当に。ジェシー先輩の方をちらりと見たら「大我のくじょーは受け付けませーん！樹に言って(笑)」と匙を投げられた。大我先輩、今までよく生きてこれましたね
ほっといたら焦げて炭とかした物や、生焼けのものまで食べてしまいそうでつい先輩のお皿に盛り付けてしまう
「先輩、これ食べますか？」
「うん」
「これも、あ、こっちも」
「……どうも」
山盛りのお皿にソーセージをのっけたところで「こんな食えない」って大我先輩がきれた。いや、良心ゆえなのに
「なんなの、お前は世話したがりなの？」
「…お世話しないとしにそうじゃないですか」
「ガキかよ、俺は」
手のかかる弟、…って思ったけど口には出さなかった。また絶対怒るもん。「ばーか」って言われてむかついたから焦げて炭になってるお肉を皿にいれる
「Aちゃんと大我きょーだいみたい(笑)」
「は？こんなやつが妹とかやだ」
「ぶっ…逆逆！」
暗にお前が弟だ、って言われてまた不機嫌そう。私が入れた炭みたいなお肉も口に入れてるし。…絶対苦いのに
「苦かったら出してくださいね」
自分で入れといてなんだけど、食べると思わないし。そう先輩に声をかけたら無言で食べるのやめた。…ちょっと可愛いじゃないか
･
･
焼きマシュマロまで堪能した私たちは帰りのバスに乗り込んだ。前後の席と後ろの3人席に別れて、…私は大我先輩と前後の席。座って直ぐに目の前の大我先輩は耳にイヤホンをさす
聞こえない、のをいいことに「ありがとうございます、大我先輩」素直にお礼を言う。何故か、この人の前で意地を張って言えない
「どういたしまして」
振り向かないまま返事が返ってきて、びっくり。絶対聞こえてないと思ったのに
「音楽、聞いてると思ったのに」
「……聞こうとしたらAが話しかけるから」
しばしの無言の後、大我先輩はため息をつく
「次、海だから。……ジェシーもくるし、スイカ割りも花火も典型的な夏のイベントは全部すんの」
「……はい」
「楽しかったならくれば、…気まずいなら俺もいるし」
「……はい、ありがとうございます」
今度は先輩からの返事は返ってこなかった。でも、なぜか少し先の夏休みが楽しみで。…この人のおかげとは思いたくないけど
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1681人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らっとる - 初めてコメントします！まめこさんの作品が大好きでどれも何度も読み返しています♪中でも今回の無題とーーっても好きです！1日に何回も更新されてないかな?と覗きにきては読み返してます☺︎更新楽しみにしてます！応援してます♪ (2021年11月4日 18時) (
レス) id: cbd38ba105 (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - 初めてコメントします！凄く面白いです！ニヤニヤしてしまいましたー＾＾今後の展開が気になりすぎるっ！！！更新楽しみにしております！作者様のペースで頑張って下さい！応援しております (2021年10月1日 0時) (レス) @page15 id: 8a3780e77b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まめこ
| 作成日時：2021年8月22日 14時
