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今年は空梅雨らしい、なんて少し前のニュースで言っていた気がする。それでもせっかくのふたりの時間を濡れ鼠で過ごす可能性を消したくて折り畳み傘をカバンに入れた。
ジェシー先輩が選んでくれたシャツを着て、アパートを出る前にもう一度メークと髪の毛を確認した。それくらい、北斗との2人での時間が楽しみらしい。
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待ち合わせ場所の駅には珍しく北斗はいなかった。いつも人を待たせるくらいなら余分に自分が待つ、なんて誇らしげに言うのに。
「ごめん、A。待たせた？」
「んーん。ぴったり！…珍しいね。私の方が早いの」
「あー…なんかバタついてて？」
自分のことなのに、疑問形なの。変な北斗。それから買ったチケットを渡して、「プラネタリウムは13時からだよ、それまで科学しよう！」なんてつまんないボケにものってない。何度も時計を見て、スマホを開く北斗に違和感しか感じない。
「………今日、なんか予定あった？」
「いや、ないよ。…ごめん」
「謝らなくていいんだけど、さ。」
帰りたいなら帰っていいんだよ、なんて言うと否定するくせに安心した顔するの。やめてよ。…なんかくるしい。でも、せっかくの誕生日を私なんかのために使わせるのはもったいない。もしかしたら桜庭ちゃんと約束があったのかもしれない。
「……幸音、がさ」
「うん」
聞きたくない名前だ、なんて思ってしまう私が嫌いだ。わかりきってることなのに。
「朝から熱があるらしくて。両親も仕事で…あ、でも1人で平気って笑ってたから気にしないで」
気になって仕方ないって顔してるくせに。そんな北斗の肩を叩いて、「帰ってあげて」って必死に笑顔を作った。多分。笑えてるはず。
「いや、でも」
「いーの！私も心配だよ、…埋め合わせは期待しないでおくからさ」
早く早く！って背中を押して、急かすように北斗を見送る。そんな私に少し安心した表情を浮かべて「ごめん」と一言謝って北斗は私に背を向けた。自分で言ったくせに、私を置いて行っちゃうんだな、なんて至極当たり前のことを考えた。
プレゼントも渡せないまま、約束のプラネタリウムも科学館にすら入れないままなの。私らしくて笑っちゃう。
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らっとる - 初めてコメントします！まめこさんの作品が大好きでどれも何度も読み返しています♪中でも今回の無題とーーっても好きです！1日に何回も更新されてないかな?と覗きにきては読み返してます☺︎更新楽しみにしてます！応援してます♪ (2021年11月4日 18時) (
レス) id: cbd38ba105 (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - 初めてコメントします！凄く面白いです！ニヤニヤしてしまいましたー＾＾今後の展開が気になりすぎるっ！！！更新楽しみにしております！作者様のペースで頑張って下さい！応援しております (2021年10月1日 0時) (レス) @page15 id: 8a3780e77b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ
| 作成日時：2021年8月22日 14時
