田中くんの彼女になる方法

たぶん、初恋 ページ43

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「ほくとくーん！連絡先交換しよっ？」



「…無理です。」






女性は自分にはない柔らかさと狡猾さをもった生き物だと俺は思っている








「えー？なんでなんでー？」







上目遣いで腕を掴んでくる名前も知らないこの子。容姿は確かに綺麗だけどこの前講義室で誰かの悪口を至極楽しそうに話していた









「貴方に興味が無いからです。腕、離してもらえる？」






「…うっざ。顔がいいからってその性格じゃあ無理だわ。」









一瞬で変わる表情に恐怖すら覚える。何故か異性に好かれるが、惹かれたことは1度もない。同性ですら、『友達』というものが少ないのに








「うおー…ゆりねちゃん、あんな性格なの？こっわ！」







「樹…みてたなら助けてよ…」






「いやー、まさか北斗があんなバッサリいくとはさ…てかなんで？ゆりねちゃん可愛いーのに！」





「…俺にはむり。こっわい」







えー！もったいねえ！と笑う樹。自分だって彼女なんて作る気ないくせに…







「あ、慎太郎だ」




「…また学食で揉めてるぞ。あいつ」






樹の目線の先には慎太郎、とお友達のA…さんだっけ？学食でほぼ毎日揉めている様子は恒例行事のようだ








「あの子も面白いんだよなー…あ！慎太郎のこと肩パンしてる！うける！」





「うわー…俺あんなパワータイプの子初めて見た…」






「しょっぴーとも仲良いみたいでさー。俺も仲良くなりたいのよー」







Aさんが笑いすぎて口から水を吹き出した話を楽しそうに話す樹。珍しい。自分から仲良くなりたい女の子、だなんて








「北斗も今度はなしてみたら？女の子は可愛い生き物だよ？」







「…俺はいい。」






「だっよなー。まずは友達作りか！」







余計な一言を言われるがあながち間違いでは無いところがいたい…





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「すみませーん！そこの人！これ！」




後ろから声をかけられ、振り返れば自宅の鍵を差し出される。慎太郎のお友達のAさんだ。







「あ、すみません…ありがとうございました」





「いえいえ。キーホルダー可愛いですね。では！」






慎太郎に無理やり付けられた子犬のキーホルダーを褒められ、少し恥ずかしくなった。馬鹿にしているのではなく、本気でいっているのだろう。にこり、と微笑んでAさんは背中を向けて歩いていってしまった






「…あんな風に笑うんだ」






ぽつり、と独り言





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