6 ページ6
・
「聞いてんの?ほくと」
「聞いてるって。…A、それ何杯目?」
もう飲むな、って静止が入るけど無視して何杯目かわからないハイボールを一気に流し込んだ。アルコールはいいよね、この高揚感となんでもできるって無敵感がたまらない。
「でね、たこ焼き終わって片付けしてる時もね。カラコンのゴミとかヘアゴムとか目に付いてね、」
「行かなきゃいいじゃん」
「………それはなし。聞いてって!」
「聞いてるでしょうよ。…樹が女の子呼んでるんだから痕跡は残るのが当たり前。他になんて言って慰めてほしいの?」
「………ほくとやだ。」
正論すぎて胸が痛い。いや、知ってるけどね。樹がいろんな女の子と遊んでることなんて。でもしっかり言葉にされるのって結構辛い。どうでも良さそうにため息ついて「好きなら言えば」ってこれまた正論。
「Aは樹とどうなりたいわけ?」
「………どうも」
「なんだそれ。所謂恋人になりたいの?…今の変な関係続けたいの?」
「わかんない…その怖い顔やめて。泣くよ」
「泣かねーじゃん。…もうやめろって。あとちょっととか言ってないでさぁ。俺はAも樹のことも理解できないよ」
理解して欲しい、なんて言ってないし。そう呟くと「ならうだうだ言ってんな」って。今日の北斗つめたい。いつもはなんだかんだ言いつつ慰めてくれるのに。
「…もう話さないから怒んないでよ」
「怒ってないよ。諭してんの」
「そっか。…ここお礼言うとこ?」
うん。感謝して、なんて少し北斗が笑ったから一安心。頼んだポテトを食べつつ、スマホに目をやるとメッセージが来ていた。『終わったらくる?』って。今日は女の子誰も捕まらなかったのかな。
「……樹だ」
「…もう今日はやめときなよ。遅いし。」
「うん。…今日は北斗とゲロ吐くまで飲むもんね」
「そんな約束、俺はしてないけどね」
『今日は北斗と朝まで飲むから行かない』ってスタンプと一緒に送って。いらない、なんて断る北斗を無視して店員さんを呼んでハイボール濃いめを注文した「いらないのよ」って声は聞こえないふり
「もう1回乾杯しよ!ねー?ほくと!」
「……ほんっとうるさい。乾杯」
「かんぱーい」
何に乾杯してんのかわかんないけど、無理やりテンションを上げた。メッセージの通知を知らせるバナーは見ないふり、だ。
・
1937人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かん(プロフ) - はじめまして。クズでもどこかきゅんきゅんしまくりでした笑 (2022年3月25日 15時) (レス) id: 08214fe36c (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - mi.さん» 返信が遅くなってすみません!そう言っていただけて嬉しいです(;_;)!嬉しいお言葉ありがとうございました! (2022年3月11日 13時) (レス) id: d8cb6056f0 (このIDを非表示/違反報告)
mi.(プロフ) - まめこさんのお話すっごく面白いです…!何度も読み返していたので、49話読み終えて涙が止まりません(;;)最後までお話楽しみにしてます。 (2022年3月2日 23時) (レス) @page49 id: f783054b71 (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - 甘さ控えめ太郎さん» はじめまして!私もcaramel読ませていただいております…!リアルな大学生感と切ない関係性、たまらなく大好きです🥺私も酔っ払った🐻さんに呼び出されたい人生でした… (2022年2月5日 7時) (レス) id: 08ec96d6c5 (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - Nappyさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます🙇♀️励みになります…!完結までお付き合いいただけたら有難いです…! (2022年2月5日 7時) (レス) id: 08ec96d6c5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まめこ | 作成日時:2021年11月29日 1時