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「きたー!」
「……お邪魔します」
久しぶりに来た樹の部屋は以前よりも物が少なくなっていた。私の嫌いなベッドがなくなっていて、いつもより部屋が広く感じる。
「おつかれー、まぁ駆けつけ1杯いっとけ」
手渡される缶チューハイ、北斗にも私にもアルコール度数めちゃくちゃ強いやつ。北斗はいやーなかおして「友達来る前に出来上がってんなよ」って樹の手からお酒の缶を受け取っていた。
「ね、ベッドは?」
「あー…俺も引っ越すから捨てた。次はもう少しデカいの買おうかなって」
「へえ。だから部屋がこざっぱりしてるんだ」
樹の内定先どこだっけ、ってふたりの会話。なるべく聞かないようにする。そういうの知っちゃったら偶然会えるかもなんて期待しちゃうし。
「でもギリギリまでとっときゃよかったのに。まだ2ヶ月あんじゃん」
「あー…早く部屋片付けたかったからさ」
「ふーん、あ、Aそれ俺の選んだやつでしょ」
「え、北斗の物は私のモノ…」
「どこぞのガキ大将かよ。」
返せって無理やり駄菓子取られた。分け合えばいいじゃん!って反抗したら「私のモノとか言ってたくせに」って鼻で笑われる。…ぐうの音もでない
「ちょっとさー、久しぶりに会えたのに俺を置いてきぼりにすんのやめてよ」
「いや、こいつの食い意地のせいでしょうよ。」
「あ、ほら!樹のすきなやつも買ってきたよ!」
「……どーも。」
「あと酒めちゃくちゃ買ったの!ゲロ吐くほど飲も」
「いやまじで俺ん家で吐くのやめて」
テーブルを挟んで向かいに北斗と隣合って座る。前までベッドにおっかかってたから変な感じだな。樹はあげた駄菓子でぺちぺちとテーブルを叩いて、たぶん3本目のチューハイに口をつけていた
……二人でいるときよりも態度が冷たい、ような気がする。ヘラヘラと笑うは笑ってるけど、なんかいつもと違う
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「A、新しい酒だしてー」
「えー、樹がもってきてよ!近いじゃん」
「お願いお願い、たちたくないんだって」
樹とどっちが冷蔵庫に立つかでじゃんけん。たった数歩なのに、アルコールが入ってると立つのすら億劫になるの、不思議。そんな私たちを見て呆れた顔で北斗が立ち上がる。
「ほら、馬鹿な争いしてんなよ」
「北斗…やさしい…だいすき…」
「うるせぇ。軽い愛だな(笑)」
「……俺も大好きー。ほくとー」
「いや、ほんとにうるせえな。」
褒めてんのにうるせぇ、はなくない?って樹と二人で笑った。
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かん(プロフ) - はじめまして。クズでもどこかきゅんきゅんしまくりでした笑 (2022年3月25日 15時) (レス) id: 08214fe36c (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - mi.さん» 返信が遅くなってすみません!そう言っていただけて嬉しいです(;_;)!嬉しいお言葉ありがとうございました! (2022年3月11日 13時) (レス) id: d8cb6056f0 (このIDを非表示/違反報告)
mi.(プロフ) - まめこさんのお話すっごく面白いです…!何度も読み返していたので、49話読み終えて涙が止まりません(;;)最後までお話楽しみにしてます。 (2022年3月2日 23時) (レス) @page49 id: f783054b71 (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - 甘さ控えめ太郎さん» はじめまして!私もcaramel読ませていただいております…!リアルな大学生感と切ない関係性、たまらなく大好きです🥺私も酔っ払った🐻さんに呼び出されたい人生でした… (2022年2月5日 7時) (レス) id: 08ec96d6c5 (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - Nappyさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます🙇♀️励みになります…!完結までお付き合いいただけたら有難いです…! (2022年2月5日 7時) (レス) id: 08ec96d6c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まめこ | 作成日時:2021年11月29日 1時