雨の日(juri.t) ページ9
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私は友達が少ない、と思う。交友関係の広い樹とは真逆。休みの日は樹は友達と過ごすことが多くて、私は家でだらーっとして一日を終えてしまう。だから、今日は珍しい。一日樹が家にいるなんて。まぁたぶん、家にいるのは今日が雨だからだろうけど。
「じゅりー」
「なに」
「あーそーぼー」
「……えー」
やだ、なんて言いつつ振り返って笑ってる。ベタベタした関係じゃないし、お互いの趣味に干渉しようと思ったことは無い。でも、同じ空間にいるなら別だ。らっきー、だもん。
「珍しーな、どした？」
「え。樹が家にいる方が珍しいよ。ほら、レアだから一緒に遊ぼっかなーって」
「なんだそれ。なにすんの？」
「んー…とりあえず甘えてみる」
「うお！飛びかかってくんなよー」
ソファの上の樹の隣に勢いよく座ると、わしゃわしゃと雑に頭を撫でられる。…まるでわんちゃんに対する扱いだ。彼女じゃない、これ。
「…いぬ？」
「あ、ばれた？」
「髪の毛すんごいことになってない？」
「うん。すげー(笑)なんでこんな絡まんの」
「わかんな、…ね、痛い気がする！」
「うっそ。まじ？」
どうなってんだこれ、って物騒な言葉が聞こえた。そんなに絡まってるの、私の髪の毛。
「痛くねーの？」
そうやってたぶん、樹なりに優しく解いてくれてる気がする。私の手より華奢なくせにずっと大きい手のひらが優しく私の髪を梳いている。
「痛くない。」
「あっそ。あ、わかったわ。ほせーから絡むんだ、これ」
彼女の髪の毛これ、って。樹らしい。真剣な顔、視線も合わないのに馬鹿みたいにどきどきしてしている。ぼーっと見つめていたら、パチンと目が合ってしまった。…見惚れてた、とか恥ずかしい。
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作者名：まめこ
| 作成日時：2022年9月17日 0時
