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ぐしゃぐしゃと雑に前髪を掻きむしる姿は怒ってる、というより呆れてるみたい。
強がって、できるって言ってる私が悪い。甘えるのがだめな気がして。約束だから守らなきゃって意地になって。
「慎ちゃん、ごめ、」
「え、まって。なんで泣いてんの」
「呆れさせて、ごめん。」
「違うって、ねぇ、A？」
「慎ちゃ、嫌いになんないで」
怖くて慎ちゃんの目は見ることが出来ない。自分が悪いのに、挙句の果てに泣くなんて。かっこ悪い、
「Aって、聞いて」
次々と出てくる水分を雑に手の甲で拭いとる。なかなかとまってくれないこれに自分自身でも嫌気がさす。
「痛いでしょ、そんなにこすって」
両手を優しく抑えられて、そのまま胸にしまい込まれた。
「嫌いになる、とかじゃないんだって。」
「…ちがうの？」
「違うって。…Aは俺には甘えらんない？」
「……あんまり、甘えちゃだめな気がする」
「俺はね、大丈夫、できるって言って無理に笑われる方がすげー嫌。」
未だにしゃくり上げる私を落ち着かせるように頭を撫でられる。
「できないーって言ってみ」
「……できない」
「もっと可愛く。たすけてー、って」
「できないよ。…助けて、慎ちゃん」
「よく言えました。俺がやるからさ、Aはいい子に座ってて。それはできるでしょ？」
「……うん」
「ソファ行く？」
リビングを指さされたけど、なんとなく。慎ちゃんと離れたくなかった。黙って首を振ると優しく笑って「すぐ終わらせるから。」そう言ってお風呂掃除をする慎ちゃんを静かにみつめていた。
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「終わったから飯食お。今日はねー、生姜焼き！」
「……ごめんね。慎ちゃん」
「あ、また言ったそれ。やめろって。」
「……ありがとう？」
「そー。俺の方が絶対体力あんだからさ、ドーンッと甘えなさいって。」
隣に座ってご飯を食べて、照れくさそうに笑う慎ちゃんを見ていたらどんどん欲が出てきちゃう。
「慎ちゃん、…ぎゅーってして」
「はい、どーぞ」
「慎ちゃん、好き。」
「知ってるよー。俺も。」
「……今日寝るまでぎゅって、して」
「もちろん。それだけでいいわけ？一緒にお風呂入って髪の毛だって乾かしてあげちゃうけどどう？」
精一杯のわがままがなんでもないことみたい。黙って頷くと嬉しそうな慎ちゃんが笑った。
「Aは甘え下手なんだからー。」
もっと甘えてって言ってるように聞こえるのはきっと気のせいじゃないはず。
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作者名：まめこ
| 作成日時：2022年9月17日 0時
