SJSS (ページ19)

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旨い料理に、旨い酒。満たされた体に車の振動は心地よかった。

「シウォン、起きて？」

一番好きな優しい声。体を揺らすの小さな手。

「A、お早よう」

捕まえた腕を引寄せて、頬にキスをした。そのまま抱きすくめて、細い肩に頭を乗せた。

「お早ようじゃないし、お早ようなら起きて」

ぐい、と肩を押し返されて距離を作ると、Aは車から降りてトランクから僕の荷物を取り出した。

どうやらホテルに着いてしまったようだ。

「明日も仕事でしょ？早く部屋で疲れをとって」

「君がいてくれた方が何倍も癒されるけど？」

僕も車外に出て、車を背にもたれた。

「そう言ってくれるのは光栄だけど、私も明日仕事で早いの」

「僕の部屋から出ればいい。ここからの方が現場に近い」

「生憎明日は別なの。アパートに迎えが来るわ」

口説くのを仕事を理由に断られるのは始終。

「送る」

「いいえ。寝て。十分に寝て、仕事に励んでください」

だけど粘れば折れる。大抵これが効くのだが、今日は大抵に入らなかった。荷物を手渡されるとホテルへと促された。

仕方なく車から離れて、挨拶を。

荷物で片手が塞がっているので、もう片方でAを抱き、別れのキスをした。

泣く泣くAを手放し、エントランスまでの階段まで上る。すると後ろから声が。

「明日の仕事、夕方には終わるの。あなたの部屋で待っているから早く帰ってきてね」

今度はAが車に寄り掛かり、ふわりと微笑んで言った。

ああ、明日も晴れるようだ。

早く明日になれと神に願う。-끝-