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『あ、ああ、悪い悪い』
席を占領していたことや、驚かせたことをまとめて謝ると、そいつは薄く笑っておとなしく席についた。みおぼえはあるが、名前がさっぱり思い出せない。
『……お前、名前なんていったっけ？ 悪い、もの覚えが悪くて』
俺がそうたずねると、そいつは一瞬きょとんとしてから、うしろの席のグルッペンをみた。グルッペンもそいつをみて、ふたりでしばらくみつめ合っている。なんだか疎外感を感じて、俺はちょっと居心地が悪くなる。
「……グルちゃんの友だち？」
「そうだ。大事な友だち」
「めずらしい」
そういって、そいつはじっと俺をみてくる。グルッペンとも違う、まるくて大きな両目にみつめられると、これはこれで妙に落ちつかない。そいつはしばらく俺をみて、それから、ふっと笑った。
「俺は
『お、おお』
俺とそいつ──シャオロンがぎこちなく挨拶を交わすのを、グルッペンは笑いながらみている。
『なに笑ってんだ』
「いや」
『いやじゃねえ。なに考えてやがる』
「たいしたことじゃない」
『お前……』
「あ、やばい、先生来た」
シャオロンがそういうや否や、俺はあわてて席に戻る。グルッペンの席と俺の席はお世辞にも近いとはいえないから、入り組んだ教室の中で移動するのに若干の手間と時間がかかる。教壇に立つ教師の視線を早くも感じはじめている。
「よそ見するなよ」
……ふと、背中にそう声がかかった、気がした。
グルッペンのほうを振り向くが、あいつはもう俺をみていなかった。頬杖をついて、じっと黒板をみている。だが、その横顔がうっすらとほほえみのかたちになっていたのを、俺は確かにみた。
『……心配なんかさせねーよ』
こたえるように、小さくつぶやく。がたがたと騒がしい教室の喧騒の中で、それはきっとあいつに届かないだろう。でも伝わっているはずだ。
「A！ いい加減席につけ！」
教師の叱責が飛んで、俺はいよいよちぢこまって自分の席におさまった。すました顔で教師の言葉をききながら、きっと俺のことを考えているだろうかわいいあいつのことを思って、俺はしばらく、顔がゆるむのをおさえられそうにない。
いと高き梢にありて、
ちいさなる卵ら光り、
あふげば小鳥の巣は光り、
いまはや罪びとの祈るときなる。
──萩原朔太郎「卵」
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暁 - こんにちは！好みドストライクの小説に死にました笑笑 よろしければ、番外編など書いていただけると、今後の楽しみになります← (2019年6月26日 17時) (
レス) id: 49acb176a2 (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - カロさん» リクエストありがとうございます！無事書けましたのでお知らせいたします。夢主気に入っていただけたみたいでうれしいです；！書いててすごく楽しいのでありがたいリクエストでした！読んでくださってありがとうございました！ (2019年6月22日 8時) (レス) id: 5ef018c5f9 (このIDを非表示/違反報告)
カロ(プロフ) - すみません！リクエストで夢主くんとグルさんのイチャイチャが見たいです！お願いします！ (2019年6月21日 18時) (レス) id: d6860b933c (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - bhさん» わーいありがとうございます；；ほんと私の好きなもの無造作につめこんだだけの作品にそういっていただけでうれしいです！完結したのでお楽しみいただければいいな…と思います！ありがとうございます！ (2019年6月20日 21時) (レス) id: cfc1eef8b5 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです…ド性癖です…応援しております… (2019年6月19日 15時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エス | 作成日時：2019年6月18日 0時
