▽祝祭 ページ27
ケーキの味なんてわからなかった。息子であるグルッペンが、母親の愛人と当然のようにつき合いがあって、愛人である大先生がとがめられることなくグルッペンの母と交流をつづけていて、父親の存在が透明で……。ごくごく普通の家庭に生まれついた俺には、わからないことが多すぎる。今わかることは、グルッペンは大先生のことをそう嫌っているわけではないらしいことと、大先生は高価なスイーツ・ビュッフェ三人分の会計を持つことになっても平然としていられるくらいには余裕がある大人だということだけだ。
「……あれ、俺の母の財布だぞ」
そんなことを考えていたら、グルッペンにそう耳打ちされて、俺はげんなりした。いったいぜんたいなにがどうなってるんだよ。いよいよわけがわからない。
「じゃ、行こうか」
「どこへ」
「グルちゃんのおうち」
『……俺もか？』
「帰りたいなら帰してあげるけど。ええの？」
『……いや』
乗りかかった船だ。俺はそうこたえて、座席にもたれかかった。横でグルッペンが、俺をみてため息をついている。さすがにあきれられたかもしれない。
『図々しくて悪いな』
「いや……。この場合、図々しいのはお前じゃなくて大先生のほうだ」
『まあ、確かに』
「俺の悪口で盛り上がんのもええけど。グルちゃんち、たぶんトントンが来てるから、しゃきっとしといたほうがええんちゃう」
大先生のひとこえで、俺と同じように座席にもたれていたグルッペンがあわてて姿勢を正した。確かに、あいつは小うるさそうな男だ。俺も仕方なくいずまいを正す。
都心から車で一時間足らず。グルッペンの屋敷は相変わらずでかくて立派だ。庭に咲く花々は以前にもまして力強く咲き誇っており、夏に咲く花の力強さを感じる。
大先生がドアホンを鳴らすと、当然のようにトントンが出迎えた。俺たちのすがたをみて、一瞬瞠目したが、すぐに気をとりなおして家に案内する。ただ、最後尾の俺を案内するときだけ、玄関に通す前に引き止められ、全身を上から下まで舐めるようにチェックさせられた。意地の悪い男だ。
「あんたが連れまわしてたんか」
「まあね。たまには息抜きも必要だろうってことで」
「また余計なことを……」
「まあまあ。ほらふたりとも、トントンが茶ァ出してくれるって」
「そんなことひとこともいってませんが！？」
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暁 - こんにちは！好みドストライクの小説に死にました笑笑 よろしければ、番外編など書いていただけると、今後の楽しみになります← (2019年6月26日 17時) (
レス) id: 49acb176a2 (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - カロさん» リクエストありがとうございます！無事書けましたのでお知らせいたします。夢主気に入っていただけたみたいでうれしいです；！書いててすごく楽しいのでありがたいリクエストでした！読んでくださってありがとうございました！ (2019年6月22日 8時) (レス) id: 5ef018c5f9 (このIDを非表示/違反報告)
カロ(プロフ) - すみません！リクエストで夢主くんとグルさんのイチャイチャが見たいです！お願いします！ (2019年6月21日 18時) (レス) id: d6860b933c (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - bhさん» わーいありがとうございます；；ほんと私の好きなもの無造作につめこんだだけの作品にそういっていただけでうれしいです！完結したのでお楽しみいただければいいな…と思います！ありがとうございます！ (2019年6月20日 21時) (レス) id: cfc1eef8b5 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです…ド性癖です…応援しております… (2019年6月19日 15時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エス | 作成日時：2019年6月18日 0時
