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「A、」

荒っぽい息遣いに、恐怖を覚える。

「やだ、蘭く……助けて、竜胆、」

「竜胆の名前、呼ぶんじゃねえよ。」

ソファに組み敷かれた私に跨って顔を近づけてくる彼。せめてもの抵抗を示し、両手で押し返してはいるものの、やはり力では到底敵わない。

……どうせ無理矢理されるなら、竜胆が良かった。初めては、竜胆が良かった。

過ぎらせていた矢先、蘭くんの身体が飛ぶかと思うくらいに揺れた。

荒っぽい呼吸が上から聞こえ、見上げると竜胆の姿。

「Aの事、好きならこんな事して泣かせてんじゃねえよ!そんな事するなら、Aは兄貴に尚更譲れねえ。俺の方がAの事好きだし!」

「痛えな……思い切り殴るんじゃねえよ。」

私と目が合うと、「もう大丈夫だから」と優しい言葉をかけてくれる。蘭くんに視線を移すと何やらニヤニヤとしており、言葉を紡いだ。

「……竜胆、俺がこうでもしねえとAに好きって言えねえ訳?は〜兄ちゃん、やっぱ俳優目指すかなぁ。」

楽観的な声のトーンに、私も竜胆もポカーンとしていた。よくよく聞いていれば、竜胆は私の事……好きって言っていた?

私の聞き間違いだったのだろうか。

「なっ、兄貴もしかして……!?」

「いつまでもうじうじしてたから兄ちゃんが背中押してやったんじゃん。感謝しろよ♡」

竜胆に殴られた傷を手で抑えてニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべていた。蘭くんが私の事好きって言ったのは嘘だったってこと……?

まだ混乱していてはっきりとした状況が掴めていない。その横で竜胆は頭を抱えてブツブツと何かを唱えていた。

「Aの事は、妹として好き。……手荒な真似してごめんな。後は2人でちゃんと話せよ。」

忙しない展開に巻き込まれ、何事も無かったような顔をして帰って行った蘭くん。

私は竜胆の方へと顔を向けた。

「俺、ずっとAの事好きだった。12年間、言えないままでごめん。」

本当に、言うの遅すぎるよ。竜胆のバカ。……なんて、私も言えたもんじゃないか。

「私も、竜胆の事がずっと好きだった。」

やっと伝えられた言葉。竜胆も私と同じ気持ちだった事が嬉しかった。

互いに12年間も、片想い拗らせててバカだね。どこまで、感情共有すれば気が済むのよ。

タバコの灰のようにいつかは消えてしまう想いだと塞ぎ込んでいたけれど、灰のように消えていかなくて良かった。

見つめ合って数秒後、顔を近づけて、私と竜胆は甘く溶けるようなキスをしていた。

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設定タグ:東京リベンジャーズ , 灰谷竜胆 , 梵天   
作品ジャンル:アニメ
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うさ - めちゃくちゃ好きすぎます… (3月31日 19時) (レス) @page50 id: 4170d6f2b7 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - めちゃめちゃいいお話しでした!(蘭ちゃん流石。。。男前すぎん?惚れるわ) (1月1日 11時) (レス) @page50 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
可月(プロフ) - 竜胆最高 (12月27日 7時) (レス) @page50 id: fed16d8c1b (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - サバさん» ありがとうございます🥹💖 (2022年4月4日 7時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
サバ(プロフ) - さきなさん» これからも応援してます🥰 (2022年4月4日 3時) (レス) id: b9a6851691 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さきな。 | 作成日時:2022年3月21日 1時

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