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38 竜胆side ページ39

兄貴に、Aのことをどう思っているのか聞いてみると好きだと言われてしまった。

どうして、俺にずっと言ってくれなかったのか。……違うか、俺だから言えなかったのか。

絶対に、兄貴にはAを譲りたくない。

今までは、興味を持った女が兄貴の事好きになっても、仕方がないって思って諦めていた。

だけど、Aの事だけは諦めたくない。

兄貴は、余裕綽々といった顔で「頑張れよ」なんて言って笑った。

まるで、既にAの心は自分のモノかのような態度で。

ちゃんとAに俺の想いを言わなければ伝わらない。そんな事はもう12年前からとっくに分かってた。

タバコの煙を吹きかけたところで、Aが意味もわかっていないなら、伝わっていない事と同じだ。

遠回しすぎる愛情表現なんて、意味ないのに数年ずっとやっていたのは、いつか俺の想いに気づいて欲しいと思っての俺なりの意思表示のつもりだった。

いつから、俺はこんなにAに対して想う気持ちが強すぎて臆病になってしまったのだろう?

11年前の今頃。1度はAに気持ちを伝えようと思った時もあった。

……今思えば、あの時ちゃんと玉砕していた方がこんなに苦しい思いをせずに済んだのかもしれない。

兄貴と嬉しそうに話しているAを見て、Aは兄貴の事が好きなんじゃないかって密かに不安を抱えていた。

そこから、また俺が興味を持った女は兄貴の事を好きになったんだ、と自覚する。

それでも、Aの事は、何故か仕方がないから諦めようって思えなかった。

兄貴は兄貴で、今までAの事を妹のように可愛いと言っていたから、何処か安心しきっていた。

兄貴はAのことが好きじゃない、なんて高を括っていた。

12年もの時があれば何があったっておかしくない。気持ちの変化だって勿論あるに決まっている。

俺が単純に考えすぎていた。Aが兄貴を好きにならなければそれでいい、なんて。

11年前もAに同じ質問をした事があった。

「Aって兄ちゃんの事、好きなの?」と。その時、Aは驚いた顔を見せるとすぐに笑った。

「蘭くんは、お兄ちゃんみたいな人!」って、それはもう、無邪気に答えたんだ。

今更、あの時こうすれば良かった、なんていう後悔は遅すぎる。戻らない日々に文句を言っても戻っては来ないのだから。

Aにちゃんと、好きだって伝えないと。今まで、伝えられなかったありったけの言葉を。

39→←37 蘭side



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設定タグ:東京リベンジャーズ , 灰谷竜胆 , 梵天   
作品ジャンル:アニメ
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うさ - めちゃくちゃ好きすぎます… (3月31日 19時) (レス) @page50 id: 4170d6f2b7 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - めちゃめちゃいいお話しでした!(蘭ちゃん流石。。。男前すぎん?惚れるわ) (1月1日 11時) (レス) @page50 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
可月(プロフ) - 竜胆最高 (12月27日 7時) (レス) @page50 id: fed16d8c1b (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - サバさん» ありがとうございます🥹💖 (2022年4月4日 7時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
サバ(プロフ) - さきなさん» これからも応援してます🥰 (2022年4月4日 3時) (レス) id: b9a6851691 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さきな。 | 作成日時:2022年3月21日 1時

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