35 ページ36
勢いに任せて、口走ってしまった言葉。
流れる沈黙に耐えきれなくなって、私から再び言葉を紡いだ。
「悪い男に引っかかるくらいなら竜胆の方がいいって意味だから!」
「……あ?あ、だろうな。」
竜胆がそういうつもりで言ったのでは無いのと分かっているのに、私がその気になってグイグイいってしまったら竜胆も引くに決まってる。
私のことはそもそも1人の女として意識してもいないのに。
「竜胆なら、多少は遠慮要らないし。」
違う、そういう事を言いたいんじゃない。本当は、ちゃんと竜胆の事を好きだと、言いたいのに。すっかり竜胆は豆鉄砲を食らったような顔をしている。
私って、本当にバカ。意気地無し。
竜胆side
……Aに、竜胆がいいなんて言われて、一瞬ドキッとしてしまった。
驚いていると、Aが悪い男に引っかかるくらいなら竜胆の方がいいって事だなんて語弊が生まれる前に付け足していたけど。
あ〜、このままちゃんとAのことが好きだって言えばよかった。
悪い男に引っかかるくらいなら、俺にすればいいって思うのも、Aの事大事にするっていうのも俺の本音。
本当に俺ってバカ。意気地がない。嫌になるくらいに、女々しい。
自傷的な言葉を思い浮かべる度に、グサグサと自ら言葉の刃を刺していく。
口寂しい、心も、寂しい。あのまま、キスしていたら、Aの心ごと奪えたのだろうか。
……そんな訳、ないか。そこまでAがチョロい女だなんて思っていない。
純粋で何も知らないからこそ、手に取るのが難しい女。さっきみたいに、他の男には流されるまま、流されて欲しくないという俺の我儘。
無意識に、タバコに手が伸びて火をつけていた。
この思いが何時になったら灰のように消えていくのだろうか。塵みたいに踏み潰したら、消え去ってしまえば、気楽だったのに。
ふぅっと、息を吹きかけるみたいに煙をAに向けてしまう。もう、癖になっているから、直せない。
……Aを抱きたいから、好きだから。ついやってしまう、悪い癖。
「も〜タバコの煙!」
今すぐ、意味を教えて、俺の気持ちを伝えたい。無理やり、ムードを作って、好きだと伝えたい。
だけど、やっぱり俺にはそんな事できる勇気はなくて、言葉を呑み込んでいく。
好きだよ、Aの事が。
誰よりも、ずっとずっと好きだ。Aはからかわないで、と怒るかもしれない。
怒っても、驚いてもいいから、俺の気持ちをいつかは受け入れて欲しい。
497人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うさ - めちゃくちゃ好きすぎます… (3月31日 19時) (レス) @page50 id: 4170d6f2b7 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - めちゃめちゃいいお話しでした!(蘭ちゃん流石。。。男前すぎん?惚れるわ) (1月1日 11時) (レス) @page50 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
可月(プロフ) - 竜胆最高 (12月27日 7時) (レス) @page50 id: fed16d8c1b (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - サバさん» ありがとうございます🥹💖 (2022年4月4日 7時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
サバ(プロフ) - さきなさん» これからも応援してます🥰 (2022年4月4日 3時) (レス) id: b9a6851691 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さきな。 | 作成日時:2022年3月21日 1時