19 竜胆side ページ20
ドぎつい香水の匂いが混じりあった店内。俺のご機嫌をとるような媚びへつらうようにヘラヘラと笑いかける女。
誰でもいいと適当につけてもらった今日の女はやたら、ベタベタとボディタッチの激しい奴だ。
これがAなら可愛いと思って許せるけど、やっぱ好きでもねぇ女に無駄にベタベタ触られんのは無理だわ。
ましてや、キャバクラの女が直々に熱っぽい視線で誘うような色恋営業なんてしたらダメだろ。
……こういう店の女は浮世離れした高嶺の花でいねえと客も蝶のようにフラフラと戻ってきてくれねえぞ。この女があんまり人気が出ない理由、何となくわかる。
「竜胆さん、お金持ちだし優しいしかっこいいから好き!」
「はいはい、ありがとな。」
適当にあしらって、言葉を交わした。……虫唾が走る。そんな薄っぺらい言葉で誰かを引き止められるなら、とっくに皆引き止められている。
タバコを吸おうとすると、素早く火をつけてくれる。すぅっと吸い込んで、誰もいない真正面に吐き出した煙は上昇していった。
「竜胆さん、タバコ吹きかけてくれないんですか?」
どうやらこの女はタバコを吹きかける意味を知ってるらしい。
「かけねえよ。」
ああ、Aに会いに行きてえな。
「酒、入れといてやるから今日は帰るわ。あとは適当に飲んどいて。」
「竜胆さんっ!」
帰ろうとする俺の手を握って引き止める女。その顔は必死そのものだった。指名なら、またしてやるのに。
どれだけ品格がなくても、俺の好みの女じゃなくても。どうせ、俺の好みの女なんてA以外いねえし。
「また来るから。」
さりげなく振り払おうとしてるのに、力を強めて離す気がなさそうな女。
「私の事、1回でいいから抱いて欲しいです……!」
……この女、もうキャバ嬢失格だわ。客に恋したら、終わり。色恋を操って客を楽しませるのが仕事なのに、私情を挟んで色目使ってくるなんて、金払う価値にすら見いだせない。
「……それは無理。てかもう指名も無理だわ。」
冷たく言い放って、手を振り払った。その気にさせておいてと、ああいう女は怒るのだろうが、客をその気にさせる力もないような奴に咎められる筋合いは無い。
A以外、抱く気なんてなれねえし。女抱いたところで、Aの代替品にすらならねえ。
どうせ抱いたところで互いに虚しくなるだけ。そういう事するためだけの女なんて俺にはいらねえんだよ。
欲しいのは、Aの心だけ。
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うさ - めちゃくちゃ好きすぎます… (3月31日 19時) (レス) @page50 id: 4170d6f2b7 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - めちゃめちゃいいお話しでした!(蘭ちゃん流石。。。男前すぎん?惚れるわ) (1月1日 11時) (レス) @page50 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
可月(プロフ) - 竜胆最高 (12月27日 7時) (レス) @page50 id: fed16d8c1b (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - サバさん» ありがとうございます🥹💖 (2022年4月4日 7時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
サバ(プロフ) - さきなさん» これからも応援してます🥰 (2022年4月4日 3時) (レス) id: b9a6851691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2022年3月21日 1時