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「A、この前の合コンどうだった?」
合コンという名の黒歴史から数日が経ち、忘却の彼方に置き去りにしようと思っていた。そんな話題を数日越しに尋ねられ、鮮明に蘇ってくる虚無の記憶。
蘭くんはなんの悪びれもなく純粋にどうだったのかを聞いてくる。それに、服を選んで貰った事もあって、報告しないのも感じは良くないのだろう。
「ん〜最悪だったよ。合コンは暫くいいかな。」
「竜胆、ちゃんと来てくれた?」
時々、蘭くんは何かを見透かしているような瞳で私に笑顔を向ける。それがたまに、怖くなる時もあるけれど、無意識に気の所為だと言い張ってその瞳に気付かないふりをしていた。
「え、なんで知ってるの?」
「Aが竜胆に言ってないの知らなくて、合コンある事、俺が言っちゃったから。」
偶然会った訳じゃなくて、わざわざ竜胆が私を探してくれたらしい。
私にあれだけ冷たいくせして、どうしてそんな行動に移ったのだろう。
「なぁ、もし竜胆がAのこと好きって言ったらどうする?」
突然の問いかけに、分かりやすく咄嗟に反応をしてしまう私。
慌てながらどうにか言葉を繋ごうとすれば、それがかえって裏目に出てしまった。
「竜胆が私を好きになる訳ないじゃん!だって、嫌がらせでタバコの煙吹きかけてくるくらいだよ!?」
「ふぅん、嫌がらせで、ねぇ。」
妙に含みのある言い方をする蘭くんに言葉を投げようとすると、先に言葉を紡いだのは蘭くんだった。
「じゃあ、竜胆じゃなくて。本気で俺がAの事好きって言ったらどうする?」
色っぽく誘惑するような瞳に思わずクラッときて魅了されてしまいそうになる。それは、心を奪われるよりも瞳を奪われてしまう、という意味で。
彼は自分自身の顔立ちの良さを熟知した上でこのような態度や行動を取っているのが想定できる。
そんなハニートラップじみたようなものには引っかからない。
「蘭くん、変な冗談やめてよ。」
「俺、本気なんだけど。」
蘭くんが見つめる瞳には、普段のような優しさは一切なく、鋭くギラつかせたような光を瞳の奥に感じた。
その瞳に捕らえられた私は、身動きが取れず、ただ迫るのは恐怖心だけ。
1度もこんな瞳で私を突き刺すように見たことはなかったのに。
「あの、蘭くん……」
「なぁんてな、冗談だよ。俺、もしかしたら俳優もいけるかもなぁ?」
笑い飛ばしている蘭くんはいつもと同じようなあっけらかんとした彼。
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うさ - めちゃくちゃ好きすぎます… (3月31日 19時) (レス) @page50 id: 4170d6f2b7 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - めちゃめちゃいいお話しでした!(蘭ちゃん流石。。。男前すぎん?惚れるわ) (1月1日 11時) (レス) @page50 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
可月(プロフ) - 竜胆最高 (12月27日 7時) (レス) @page50 id: fed16d8c1b (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - サバさん» ありがとうございます🥹💖 (2022年4月4日 7時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
サバ(プロフ) - さきなさん» これからも応援してます🥰 (2022年4月4日 3時) (レス) id: b9a6851691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2022年3月21日 1時