検索窓
今日:9 hit、昨日:33 hit、合計:100,933 hit

14 ページ15

眠さは残っているのに、微かに体に掛かってきているなにかの重心に気づいて、ゆっくりと意識が芽生え始めている。

瞼がまだ重たいけれど、目を擦りながら少しずつ開いていく。ぼやけていた視界がはっきりしていくと目の前には好きな人の寝顔。

何故、ベッドの上で抱きしめ合って眠っているのだろう。

疑問とタバコの苦い残り香が私を包み込んでいた。

量は少ないけれど長い睫毛と端麗な顔貌。私贔屓もあるだろうけれど、やっぱりかっこいいなぁ、とまじまじと見つめてしまう。

こんな時くらいしか、ちゃんと正面から見つめる事が出来ないから。

私より歳上のくせに、寝顔は幼さを残して可愛らしさも兼ね備えている。……こんな彼の寝顔を、綺麗な女の子たちは見てきたのだろう。

考えたら、辛くなってしまうけれど。私がいつまでも竜胆に気持ちを伝えられないのが悪い。

臆病になっていて竜胆との今の関係が壊れるのが怖くて先に進めない。

もやもやと嫌な感情を目の前で広げていると、寝返りを打とうとしたのか竜胆が動き出す。

私は、竜胆が動こうとした時に尚、距離が近づいてしまいがっちりとホールドされてしまった。

彼の胸板に頭をぶつけた衝撃に驚いた様子を見せて、何事だと言わんばかりに目を開いた。

パチッとばっちり重なってしまう視線。私は動揺を隠せないまま、言葉を放つ。

「おはようございま、す……?」

「言っとくけど、Aが寝たまま俺の事引き込んだんだからな。俺は悪くねえ。」

無意識とはいえ、なんて大胆なことをしてしまったのだろう。竜胆は竜胆で、よく嫌がらずに拒まずに受け入れてくれていたな。

昨日はあんなになっていたから、流石に……という情けをかけてくれたのだろう。

「もう大丈夫か?」

「大丈夫、ありがとう。」

最低かもしれないけど、こんな形でも竜胆に心配されるだけで私は嬉しい。

出来るならもうこんな事は無いようにしたいけれど。

ホールドされたまま見つめ合う秒数が重なっていくせいで、ドキドキと高鳴る鼓動。

このまま、竜胆に「好き」だと伝えられたら良いのに。

……そういえば、昨日お風呂も入らずに寝落ちしてしまった。ふと思い出したら、匂いとか気になってきて途端に離れたくなった。

「は、おいっ……」

「昨日、お風呂入ってないから入ってくる……!」

「……俺も入ってねえわ。一緒に入る?」

そうやってからかって、反応を楽しんでるんでしょ。

「一緒に入りません。……じゃあ、先入ってくる。」

15→←13 竜胆side



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (253 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
497人がお気に入り
設定タグ:東京リベンジャーズ , 灰谷竜胆 , 梵天   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

うさ - めちゃくちゃ好きすぎます… (3月31日 19時) (レス) @page50 id: 4170d6f2b7 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - めちゃめちゃいいお話しでした!(蘭ちゃん流石。。。男前すぎん?惚れるわ) (1月1日 11時) (レス) @page50 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
可月(プロフ) - 竜胆最高 (12月27日 7時) (レス) @page50 id: fed16d8c1b (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - サバさん» ありがとうございます🥹💖 (2022年4月4日 7時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
サバ(プロフ) - さきなさん» これからも応援してます🥰 (2022年4月4日 3時) (レス) id: b9a6851691 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さきな。 | 作成日時:2022年3月21日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。