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12 竜胆side ページ13

本当は嫌味たっぷり込めた言葉をぶつけようと思ってた。危機感がなさすぎるって怒ってやろうと思ってた。

だけど、Aの顔面蒼白な所とか、ちょっとでも責めてしまうような言葉を浴びせたら、消えてしまうのではないかと思わせられる程弱々しい存在に感じた。

出来るだけ、寄り添うように声をかけると、突然泣き出した。……本当に怖かったのだと言うのが伝わってくる。

そんな砂の城のように容易く崩れ去ってしまいそうなAを見たら、抱きしめる事しか出来なかった。

ただ、今は安心させてやりたい。それでも、俺がいる事によって余計に辛くなってしまうならと今日は帰ろうとしたら、珍しく縋りつくように引き止められる。

服を掴んだ手も、握った時の手も。こんなに小さくて細かっただろうか、と疑問を抱いた。

守ってやれて良かった。これからも傍で好きでいたい、守ってやりたい。

そこら辺の男なんかに、やっぱりAを渡したくない。

ソファに腰掛けて、握ったままの小さな手。少しだけ、冷たかった。……俺が、温めてやりたい。熱を伝って、このまま「好き」の気持ちも伝わればどれだけ楽だろうか。

自分の言葉で伝えないといけないのは、分かってる。でも、この状況で伝えたら、Aの弱さに漬け込んでしまう事になる。

それを絶好のチャンスだと思えるくらい性根が腐ってたら良かったんだろうけど。俺は、好きな女が嫌な思いをしてる時だからこそ、言えない。

使い古した雑巾みたいに何度利用されたっていい。俺を頼って、縋って欲しい。

一方通行の恋だとしても、俺は、一時的にでもAの心に残るなら、今はそれで構わない。

今日みたいな事はもう2度と繰り返させたくないけど。

もし、Aがつらくなったら好きじゃなくてもいいから、俺を引き止めて欲しい。

長年の恋が敵わなさすぎて拗らせててダサいのも自覚済み。そりゃ、兄貴だって俺に文句のひとつ垂れてしまいたくなる。

……とはいえ、溜まりに溜まっていくフラストレーション。滞りを感じれば感じる程、口寂しくなってしまっていつもの癖でタバコの箱に手を伸ばす。

そして、いつものようにタバコの煙をAに吹きかけてみる。

今日は俺を咎める元気すら無いのか、何も言わずにただぼんやりと俺に身を寄せていた。

……そのまま、俺に気持ちが傾いてくれればいいのに。

他の男じゃなくて。兄貴じゃなくて。たった1人、俺の事を好きになってくれたらいいのに。

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設定タグ:東京リベンジャーズ , 灰谷竜胆 , 梵天   
作品ジャンル:アニメ
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うさ - めちゃくちゃ好きすぎます… (3月31日 19時) (レス) @page50 id: 4170d6f2b7 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - めちゃめちゃいいお話しでした!(蘭ちゃん流石。。。男前すぎん?惚れるわ) (1月1日 11時) (レス) @page50 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
可月(プロフ) - 竜胆最高 (12月27日 7時) (レス) @page50 id: fed16d8c1b (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - サバさん» ありがとうございます🥹💖 (2022年4月4日 7時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
サバ(プロフ) - さきなさん» これからも応援してます🥰 (2022年4月4日 3時) (レス) id: b9a6851691 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さきな。 | 作成日時:2022年3月21日 1時

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