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ほろ酔いから饒舌になる彼らの話を相槌を打ちながら聞いていた合コン。
……正直、物凄く帰りたい。1時間前までは、ほろ酔い程度だったのに、今ではすっかり泥酔状態の人もいれば、アルコールの力を利用してベタベタと触ってくる人もいる。
かっこいい人も勿論いるけれど、やっぱり竜胆には敵わなくて。
先程から、隣の席でベタベタと肩を組んできたりしつこく連絡先を聞いてきたりする人がいる。医者で将来有望と謳われている人らしい。
顔良し、収入よしの彼だけど、初対面の人にベタベタ触る人はどうかと思うし話がクソ程つまらない。
周りは周りで、男女共にワンナイト希望が多いのか知らないけれど、付き合ってもないくせにキスしたり、少し如何わしい雰囲気を醸し出している。
幹事がすっかりその気になって、会計を済ませると各自解散になる。各々が出来上がった組み合わせでホテルやら何処かへと夜の街に消えていく後ろ姿を見送った。
「この後、俺らも抜けてホテル行く?」
隣にいた彼に誘われ、背筋を凍りつかせてしまう。まるで、兎を捕らえた狼のような表情。溢れ出て隠しきれていない下心。
そんなにお酒が強くない私だけれど、一応理性はあって、冷静に物事を考えられるくらいではいる。
食べて丸ごと呑み込まれる前に、自分から遠ざかって逃げるのが最善なのだろう。
「……私、酔っちゃったから家に帰ろうかな。」
やんわりと断ってみれば、表情も態度も一変する。
「は?俺らが参加した合コンでヤらずに帰るとかねえから。」
……もしかして、合コンというのは口実に過ぎなくて、元々そういう目的だったって事?最初から分かっていればそんなもの参加しなかったのに、最悪だ。
「……1回3万払ってもいいよ。Aちゃん、凄い俺の好みだし。」
「お金なんて要りません。私、家に帰るので!」
「だから、帰さねえって言ってんじゃん。」
強く掴まれた腕が痛い。早く、逃げないと。この人、本気でホテルに連れ込むつもりだ。
「やだ、辞めてください!」
抵抗するけれど、力で敵うはずも無くて。抵抗も虚しくずるずると引きずられていく。怪しく光るネオンの夜の街に忍び寄っていく私と彼の影。
早く、竜胆への気持ちを消し去りたかった。ただ、それだけだった。今なら、竜胆が私に対して煩く言っていた理由が分かる気がする。
竜胆に、今すぐに会いたい。
「……竜胆。」
ポツリ、と呟いた矢先。彼の腕を誰かが横から振り払った。
「A、帰るぞ。」
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うさ - めちゃくちゃ好きすぎます… (3月31日 19時) (レス) @page50 id: 4170d6f2b7 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - めちゃめちゃいいお話しでした!(蘭ちゃん流石。。。男前すぎん?惚れるわ) (1月1日 11時) (レス) @page50 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
可月(プロフ) - 竜胆最高 (12月27日 7時) (レス) @page50 id: fed16d8c1b (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - サバさん» ありがとうございます🥹💖 (2022年4月4日 7時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
サバ(プロフ) - さきなさん» これからも応援してます🥰 (2022年4月4日 3時) (レス) id: b9a6851691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2022年3月21日 1時