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朝、目が覚めたら竜胆は既に家には居なかった。大体、いつもこんな感じだから別に心配も何もしていない。
ただ、私って都合よく使われてる女なんだなって改めて毎回思うだけ。
ソファの上には掛け布団がきちんと畳んであり、隅の方に寄せて置かれている。
こんなにも、私は好きで。好きじゃなくてもいいから、いっその事抱かれるだけの関係になったって構わない。
どうせ都合の良い女なら、最後まで都合の良い女にさせて欲しい。
そんな事を思っていても、竜胆にとって私は恋愛対象外なのだから何を望んでも無駄なのは分かっている。
……私、竜胆の好みの女になろうって頑張っていたのにな。
竜胆が好きだと言っていたのは清楚可憐な女。でも、実際色恋沙汰になっているのは露出の激しめな綺麗系の美人だった。
言ってる事と違うじゃん。
私の鬱憤やもやもやが溜まると、竜胆の兄である蘭くんを呼び出してはバーで飲み明け暮れていた。
「……A、飲みすぎじゃね?そろそろ辞めとけ〜?」
窘めるように私の持っていたグラスを奪う蘭くん。それでも飲んでないとやってられないと言わんばかりにグラスを奪い返してグイッと思い切り喉の奥に流し込んでいく。
「いっその事、俺にすれば?」
蘭くんは私にとって兄みたいな存在。そんな蘭くんもかなりモテる。だから蘭くんは蘭くんで特定の彼女を作らない事を知っている。適当な事を言ってるだけ。
顔が良すぎるのも、罪だよなぁ……なんて蘭くんの端麗な顔貌を眺める。
「りんど……」
「あ〜完全に潰れてるわ。」
頭がくるくると回ってきた挙句、ふわふわとした心地が私の体を支配し始めている。
そのせいで、地に足が着いているのかさえも不確かになって、そのままバーのテーブルに突っ伏して目を閉じた。
「起きろって。……しょうがねぇなぁ。」
蘭くんがポケットからスマホを取り出して誰かに電話をしているのも知らずに、私は微睡んで夢の中へと堕ちていた。
気がつけば、私の部屋のベッドの上で見慣れた天井。確か、蘭くんと一緒にバーで飲んでいたはずだった。
蘭くんがもしかしたらここまで連れてきてくれたのかもしれない。重たい体を起こせば、目に映ったのは蘭くんじゃなくて竜胆。
「え、なんで?」
「Aが潰れたから迎え来いって兄貴から呼び出しくらった。」
蘭くん、気を利かせてくれたのか、それとも面白がっているのか分からない。前者だと信じたいが、恐らく後者だろう。
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うさ - めちゃくちゃ好きすぎます… (3月31日 19時) (レス) @page50 id: 4170d6f2b7 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - めちゃめちゃいいお話しでした!(蘭ちゃん流石。。。男前すぎん?惚れるわ) (1月1日 11時) (レス) @page50 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
可月(プロフ) - 竜胆最高 (12月27日 7時) (レス) @page50 id: fed16d8c1b (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - サバさん» ありがとうございます🥹💖 (2022年4月4日 7時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
サバ(プロフ) - さきなさん» これからも応援してます🥰 (2022年4月4日 3時) (レス) id: b9a6851691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2022年3月21日 1時