ずっとずっと…【赤】 (ページ10)

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それと入れ替わりにやって来た村上先輩

「お前、すばるに何か言うたかっ？」

「いいえ、何も…」

「めっちゃ不機嫌やったけど？」

「私、何もしてませんって」

「ホンマか？」

「本当です」

「ならええけど…」

心配そうな村上先輩をよそに、私の頭の中は、歌のことでいっぱいだった

テニスの試合が終わった日から、1日一回必ず先輩から来ていたメール

…と言っても、“ふーん”とか“へぇ～”とか、私のメールの返信ばかりだけど、不定期便よりも、嬉しい一言だった

なのに、生徒会室で会った日以降、また以前のように、パッタリ途絶えてしまった

私、先輩の機嫌損ねるような事したかな？

いくら考えても、何度思い返しても、思い当たる節はない

学校がない土日は、家で自主練習

その間、何通かメールを送ってみるものの、先輩からの返信は一度も無かった

「だぁ～っ！」

何時間キーボードに向かっても、上手く弾けなくて

「……コンビニ行こ」

気分転換に外に出る

日中は、まだまだ暑い日もあるけれど、少し肌寒さを感じる夕暮れ時

少し遠回りして、中学校の前を通ってコンビニを目指すと、少し前に見慣れた背中と見慣れない後ろ姿

私と目的地は一緒だったようで、2人でコンビニに入っていった

初めて見た

渋谷先輩の、あんな真剣な表情

あんな笑顔

その全部を受け止めてるのは、私じゃなくて
隣にいた、可愛らしい女性

なんだ……

あんな素敵な彼女さん、いるんじゃん

そりゃ、私に興味なんてないわけだ

だったら、どうして私の告白OKしたんだろう

来た道をとぼとぼ歩き、涙をポロポロ流しながら、そんな事を考えた

村上先輩に書いてもらった楽譜。もういらないか…と、ゴミ箱に捨ててみたけど

「…………」

もう一度拾い直す

折角……だもん

ちゃんと、渋谷先輩に“おめでとう”そう言ってからお別れしよう

2番目でもいい

9月22日は、先輩の誕生日をお祝いして、自分の気持ちにもケリをつけよう

そう決めた