ずっとずっと…【赤】 (ページ6)

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いつもより、早めに布団に入ったはずなのに、眠りについたのは、いつもより遅い時間だった

朝起きて、一番に携帯をチェックしてみたものの、何のメッセージも来てなくて

「はぁ…」

短いため息ついて

「いってきま～す」

重たい足取りで、家を出た

『頑張れ』のひと言くらい、くれてもいいのに…

なんて、自分勝手な事が頭に浮かんで

電車に乗って、学校に着くまで何となく気にしていた携帯

「やっぱ…来ないよね」

ちょっぴり期待していたメール

届くはずもなく、荷物と一緒にロッカーに携帯をしまった

「A、惜しかったね」

「うん…」

今回の試合は、次の大会のレギュラーを選ぶための大事な試合

勝てばレギュラー確定だったけれど、私は僅差で負けてしまった

「でも、今日は2年生みんな調子悪かったしさ。まだチャンスあるって」

「そう、だね」

「ほらっ。今日はさ、帰りカラオケでも寄ってさ、パーッと騒ごうよ」

「うんっ……そう……」

部室のロッカーを開けて、携帯電話のロック画面を見て

「ごめんっ。やっぱ私帰るっ」

「えっ？なんでっ？」

「何でもっ。じゃっ、またねっ！」

急いで着替えて、部室を飛び出した

駅のホームで電車を待つ間、送られてきたメールを何度も確認

『惜しかったな』

『次、頑張りや』

相手は、渋谷先輩

「ふふっ…」

何度もニヤける頬、両手で挟んで修正しつつ、家に着いたら靴を脱ぎ捨て、部屋に駆け込み、迷う事なく通話ボタンをタップした

『もしもし』

「もしもしっ、先輩ですかっ？」

『ん～？』

「今日の試合、見にきてくれたんですかっ？」

『ん～』

「てっきり、横山先輩の試合に行ってるのかと…」

『なんで？』

「だって、そんなような事、言ってたし」

『はぁ？んな事言うてへんし』

「でも、横山先輩の試合が今日だって」

『その話はしたけど、行くなんて言うてへんやろ』

「それは…そうですね」

『まっ、次頑張ったらええやん？』

「はいっ。次頑張りますっ！」

『……なら、またな』

「はいっ。ホント今日はありがとうございました」

電話を切った後も、緩みっぱなしの頬

夏休み前に、暑い暑いとよく村上先輩に愚痴っていた渋谷先輩

そんな先輩が、あんな炎天下の中、私の試合を見に来てくれたなんて

「うふふっ……」

これまで悩んでた事、一気に吹っ飛んで、嬉しさを噛み締めた