ずっとずっと…【赤】 (ページ19)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:47,442 hit

・おまけ④ ページ19

“私のため”と言って歌ってくれたのは、誰もが知ってるラブソング

その歌声、表情、迫力に涙する人もいた

「ありがとうございました」

大きな拍手の中、マイクを下に置いて、そのままステージを降りてきたすばるくん

「ほら…」

横山先輩に、ポンと背中を押されて通路に出れば、まっすぐこちらに向かって歩いてくる彼

「………帰るか？」

「………うん」

いつも通り私の手を握り、生徒達の中を堂々と歩く

ギュッと力が入るその手は、ちゃんと私の居場所を示してくれているみたい

体育館の外に出たら

「だぁ～っ、疲れた～」

フッと力の抜けた手

「A、癒して～」

ふんわり抱きしめられるから、彼の背中に手を回した

「どぉやった？」

「カッコよかったよ？」

「ホンマに？」

「うん」

「なら、なんであんな不安そうな顔してたん？」

「………バレてた？」

「当たり前やろっ。俺はお前の彼氏やぞっ」

「すばるくん、遠くに行っちゃいそうな気がしたから……でも」

「でも？」

「さっきの歌聴いて、安心した。
だから、もう大丈夫」

「そか、……A？」

「うん？」

「俺が、離れられへんの」

「………うん」

「せやから、俺達は

ずっとずっと………」

一緒だから

all end